ニホンナシ‘幸水’の生育相および果実品質の年次変動と気象要因との関係

三重県で栽培されているニホンナシ‘幸水’の生育相および果実糖度の年次変化と気象要因との関係を解析した. データを解析した1981年から2004年までの24年間で, 年平均気温は1年間に約0.07℃の割合で上昇していた. 気温の上昇は, 9月から2月の間で大きかった. 自発休眠覚醒期の推定値は, 1年間に0.49日の割合で遅くなった. 満開期は年々早くなっており, その程度は1年間で0.37日であった. 満開期は, 2月上旬から4月中旬の旬平均気温と負の相関を示し, これらの旬平均気温の中には年次と正の相関を示すものがあった. 収穫最盛期は, 満開期と正の相関を示し, また, 1年間に0.32日...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 4; no. 3; pp. 329 - 333
Main Authors 伊藤, 寿, 市ノ木山, 浩道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2005
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Summary:三重県で栽培されているニホンナシ‘幸水’の生育相および果実糖度の年次変化と気象要因との関係を解析した. データを解析した1981年から2004年までの24年間で, 年平均気温は1年間に約0.07℃の割合で上昇していた. 気温の上昇は, 9月から2月の間で大きかった. 自発休眠覚醒期の推定値は, 1年間に0.49日の割合で遅くなった. 満開期は年々早くなっており, その程度は1年間で0.37日であった. 満開期は, 2月上旬から4月中旬の旬平均気温と負の相関を示し, これらの旬平均気温の中には年次と正の相関を示すものがあった. 収穫最盛期は, 満開期と正の相関を示し, また, 1年間に0.32日の割合で早くなった. 果実生育期間の長さの年次変動には傾向は認められなかった. これらのことより, ‘幸水’の生育相は, 地球温暖化の影響を受けていると推察された. 一方, 果実糖度は, 7月中旬から8月中旬の旬平均気温および日射量と正の相関を示し, 7月下旬から8月上旬の降水量と負の相関を示した. しかし, 果実糖度と年次との間には相関が認められなかった.
Bibliography:ZZ20004168
720099
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.4.329