冬春セルリー栽培における傾斜地養液栽培システムの性能および根域加温の時間帯の効果

冬春期の傾斜地におけるセルリーの栽培において,傾斜地養液栽培システムの性能を調査するとともに,温床線を利用して効率的な根域加温を行うため,設定温度を15℃として朝方(3:00~9:00),昼間(9:00~15:00),および終日の加温を検討した.傾斜地では,圧力補正機構付きの点滴チューブを用いても給液停止後の吐出に起因する給液量のばらつきがあった.それに伴い,生育のばらつきがみられた.一方,傾斜地養液栽培システムでは,圃場の高低差に関係なくほぼ均一な給液が可能であった.その結果,セルリーの生育は圃場の高低差に関係なくほぼ斉一であったため,セルリー栽培に有効に利用できる.一方,朝方加温区では,終...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 9; no. 1; pp. 53 - 58
Main Authors 伊吹, 俊彦, 笠原, 賢明, 藤野, 雅丈, 木下, 貴文, 東出, 忠桐
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2010
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ISSN1347-2658
1880-3571
DOI10.2503/hrj.9.53

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Summary:冬春期の傾斜地におけるセルリーの栽培において,傾斜地養液栽培システムの性能を調査するとともに,温床線を利用して効率的な根域加温を行うため,設定温度を15℃として朝方(3:00~9:00),昼間(9:00~15:00),および終日の加温を検討した.傾斜地では,圧力補正機構付きの点滴チューブを用いても給液停止後の吐出に起因する給液量のばらつきがあった.それに伴い,生育のばらつきがみられた.一方,傾斜地養液栽培システムでは,圃場の高低差に関係なくほぼ均一な給液が可能であった.その結果,セルリーの生育は圃場の高低差に関係なくほぼ斉一であったため,セルリー栽培に有効に利用できる.一方,朝方加温区では,終日加温区よりも平均根域温度が低いが調製重はほぼ同等であった.また,朝方加温区では,平均根域温度は昼間加温区とほぼ同じであるが,調製重は有意に大きかった.根域温度の日変化を比較すると,朝方加温区では,終日加温区と比べると夜間に低く,昼間加温区と比べると午前中に高かった.これらのことから,根域温度を朝から高めることがセルリーの生育促進にとって効果的であると考えられた.また,朝方加温区では,料金の安い深夜電力を利用して加温コストを低減できた.従って,朝方加温は,投入エネルギーおよび投入コストあたりの調製重増加が大きいため効率的な加温法といえる.
Bibliography:ZZ20004168
790045
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.9.53