僧帽弁形成術の術後に痙攣発作を認めた犬の1例

医学領域において心臓血管手術後合併症の一つとして痙攣発作が知られているが,獣医学領域での報告は少ない。今回,我々は僧帽弁閉鎖不全症の犬に対し僧帽弁形成術を行い,術後に一過性の痙攣発作を示す症例を経験した。痙攣発作は術後12時間目に発生し強直間代性であり約1分間持続した。その後散発したものの抗痙攣薬を使用したところ奏効した。術後2週間で抗痙攣薬を中断した後も痙攣発作は認められず一過性の経過であった。術中の血行動態から脳低灌流,空気や血栓の塞栓などが原因となった可能性が考えられた。医学領域で見られる心臓手術後の合併症である一過性の痙攣発作が犬でも同様に認められる可能性が示唆された。...

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Published inDōbutsu no junkanki Vol. 49; no. 1; pp. 29 - 34
Main Authors 松浦, 功泰, 菅野, 信之, 手島, 健次, 安藤, 崇則, 山田, 修作, 長濱, 正太郎, 鈴木, 陽彦, 一瀬, 友之, 白石, 陽造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本獣医循環器学会 2016
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Summary:医学領域において心臓血管手術後合併症の一つとして痙攣発作が知られているが,獣医学領域での報告は少ない。今回,我々は僧帽弁閉鎖不全症の犬に対し僧帽弁形成術を行い,術後に一過性の痙攣発作を示す症例を経験した。痙攣発作は術後12時間目に発生し強直間代性であり約1分間持続した。その後散発したものの抗痙攣薬を使用したところ奏効した。術後2週間で抗痙攣薬を中断した後も痙攣発作は認められず一過性の経過であった。術中の血行動態から脳低灌流,空気や血栓の塞栓などが原因となった可能性が考えられた。医学領域で見られる心臓手術後の合併症である一過性の痙攣発作が犬でも同様に認められる可能性が示唆された。
Bibliography:ZZ00011639
902684
ISSN:0910-6537
1883-5260
DOI:10.11276/jsvc.49.29