東北地方の赤雪

1998年3月から2003年5月の融雪期に東北地方に発生した47地点の赤雪についての原因調査を行った。 赤雪中には赤褐色の粒子が多数存在し,高濃度のFeが含まれていた。この赤褐色の粒子の多くは緑藻Hemitoma sp.の休眠胞子であり,粒子数と全Fe含有量とのあいだには高い相関関係があった。赤雪の発生地域は融雪時期に積雪下層部と湿原もしくは土壌との境界面に流れた水が留まる窪地であった。休眠胞子形成の時期や胞子形成の機構は不明であるが,融雪期に融雪水の動きに伴って積雪中を移動し,雪の表層にあらわれ出てくるため,雪が赤褐色に着色するものと推定した。...

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Published inRikusuigaku zasshi Vol. 65; no. 3; pp. 181 - 191
Main Authors 落合, 正宏, 林, 拓志, 大高, 明史, 福原, 晴夫, 野原, 精一, 山本, 鎔子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本陸水学会 01.12.2004
Subjects
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ISSN0021-5104
1882-4897
DOI10.3739/rikusui.65.181

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Summary:1998年3月から2003年5月の融雪期に東北地方に発生した47地点の赤雪についての原因調査を行った。 赤雪中には赤褐色の粒子が多数存在し,高濃度のFeが含まれていた。この赤褐色の粒子の多くは緑藻Hemitoma sp.の休眠胞子であり,粒子数と全Fe含有量とのあいだには高い相関関係があった。赤雪の発生地域は融雪時期に積雪下層部と湿原もしくは土壌との境界面に流れた水が留まる窪地であった。休眠胞子形成の時期や胞子形成の機構は不明であるが,融雪期に融雪水の動きに伴って積雪中を移動し,雪の表層にあらわれ出てくるため,雪が赤褐色に着色するものと推定した。
Bibliography:711052
ZZ00016414
ISSN:0021-5104
1882-4897
DOI:10.3739/rikusui.65.181