合成ピレスロイド剤散布下の露地栽培ナスにおけるカンザワハダニと天敵2種の発生消長

露地栽培ナスに3種の合成ピレスロイド剤を定期的に散布し,カンザワハダニTetranychus kanzawai KISHIDA,およびその天敵2種,ケナガカブリダニAmblyseius longispinosus (EVANS)とOrius属のハナカメムシの発生消長を約5か月間調べ,有機リン剤区,殺ダニ剤区および無処理区と比較した。合成ピレスロイド剤のフェンバレレート,ペルメトリン区では3∼4回,フェンプロパトリン区では2∼3回のハダニの顕著な発生ピークがそれぞれ薬剤散布後約20日目に認められる例が多かった。とくに8月にみられたピークは1,000∼3,000匹/株に達し,無処理区の一部や他の薬...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 35; no. 2; pp. 153 - 159
Main Authors 大谷, 徹, 高藤, 晃雄, 井上, 雅央
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 01.05.1991
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:露地栽培ナスに3種の合成ピレスロイド剤を定期的に散布し,カンザワハダニTetranychus kanzawai KISHIDA,およびその天敵2種,ケナガカブリダニAmblyseius longispinosus (EVANS)とOrius属のハナカメムシの発生消長を約5か月間調べ,有機リン剤区,殺ダニ剤区および無処理区と比較した。合成ピレスロイド剤のフェンバレレート,ペルメトリン区では3∼4回,フェンプロパトリン区では2∼3回のハダニの顕著な発生ピークがそれぞれ薬剤散布後約20日目に認められる例が多かった。とくに8月にみられたピークは1,000∼3,000匹/株に達し,無処理区の一部や他の薬剤処理区が低密度に推移したのに比べて顕著な違いがみられた。これらの合成ピレスロイド剤処理区では,調査期間を通じて天敵の発生密度が他の処理区と比べて明らかに低く,またハダニ個体数の増加に対応した天敵の増加は,フェンプロパトリン区のハナカメムシを除き,きわめて低く抑えられた。これらから,合成ピレスロイド剤による天敵の排除によってハダニ個体数の増加がもたらされていることが明らかであった。
Bibliography:472034
ZZ00014825
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.35.153