ヨトウガ,ハスモンヨトウ終令幼虫の食草間の移動に関する実験

ハクサイ,コマツナ,サツマイモ葉を使い,ヨトウガ,ハスモンヨトウ終令幼虫の食草間における移動性を実験室条件下で調べた。 ヨトウガでは放飼密度に関係なく食草がハクサイ,コマツナでは幼虫の移動は起こり難く,サツマイモの場合移動がみられた。ハスモンヨトウでは5頭放飼の場合,実験したいずれの食草の組合せでも移動がみられたが,1頭放飼の場合移動がほとんど起こらなかった。 両種幼虫の食草選好を調べた結果,ヨトウガではハクサイ≈コマツナ>サツマイモであり,ハスモンヨトウではサツマイモ>コマツナ>ハクサイの順位であった。 以上の結果からヨトウガは生息密度に関係なく食草の相異に敏感であり,ハス...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 19; no. 3; pp. 157 - 161
Main Authors 横井, 進二, 辻, 英明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 01.09.1975
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Summary:ハクサイ,コマツナ,サツマイモ葉を使い,ヨトウガ,ハスモンヨトウ終令幼虫の食草間における移動性を実験室条件下で調べた。 ヨトウガでは放飼密度に関係なく食草がハクサイ,コマツナでは幼虫の移動は起こり難く,サツマイモの場合移動がみられた。ハスモンヨトウでは5頭放飼の場合,実験したいずれの食草の組合せでも移動がみられたが,1頭放飼の場合移動がほとんど起こらなかった。 両種幼虫の食草選好を調べた結果,ヨトウガではハクサイ≈コマツナ>サツマイモであり,ハスモンヨトウではサツマイモ>コマツナ>ハクサイの順位であった。 以上の結果からヨトウガは生息密度に関係なく食草の相異に敏感であり,ハスモンヨトウは食草の相異にもまして生息密度に敏感に反応して幼虫の移動が起こると考えられる。 模擬ほ場としてパレットに植えられたコマツナ株群でもヨトウガ幼虫は集中的な食害を示すのに対し,ハスモンヨトウ幼虫は,より拡散的な分布と食害を示した。 ハスモンヨトウ1頭に対しヨトウガ4または9頭,およびその逆の組合せの2種幼虫混合群の移動実験では,1頭の種は移動が起こらないかあるいは起こり難かった。これは生息密度依存的な移動刺激およびそれを感受して移動する能力の両方に種特異性があることを示している。
Bibliography:114829
ZZ00014825
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.19.157