モモサビダニの被害解析

モモサビダニによるモモの葉の被害が光合成速度,果実品質,落葉および樹勢に及ぼす影響について検討した. 1. 被害葉では健全葉に比べ光合成速度が著しく低下した.収穫期(8月下旬)の葉の被害度と果実の重量,酸度との間には有意な相関関係がみられなかったが,糖度は葉の被害度が増加するにつれて有意に減少した.また,9月下旬の落葉率は収穫期の葉の被害度が増加するにつれて有意に増加した. 2. 9月下旬に落葉した被害多発樹(落葉率:70∼80%)では,健全樹(落葉率:5∼10%)に比べ花芽の肥大が抑制され,子房の大きさも有意に小さかった.さらに,被害多発樹では果実の肥大が抑制され,健全樹よりも果実の重量,糖...

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Published inNihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 43; no. 4; pp. 189 - 193
Main Authors 近藤, 章, 平松, 高明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本応用動物昆虫学会 01.11.1999
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Summary:モモサビダニによるモモの葉の被害が光合成速度,果実品質,落葉および樹勢に及ぼす影響について検討した. 1. 被害葉では健全葉に比べ光合成速度が著しく低下した.収穫期(8月下旬)の葉の被害度と果実の重量,酸度との間には有意な相関関係がみられなかったが,糖度は葉の被害度が増加するにつれて有意に減少した.また,9月下旬の落葉率は収穫期の葉の被害度が増加するにつれて有意に増加した. 2. 9月下旬に落葉した被害多発樹(落葉率:70∼80%)では,健全樹(落葉率:5∼10%)に比べ花芽の肥大が抑制され,子房の大きさも有意に小さかった.さらに,被害多発樹では果実の肥大が抑制され,健全樹よりも果実の重量,糖度,酸度がいずれも有意に低かった. 3. このように,モモサビダニによって葉を強く加害されると,当年の果実の糖度が低下するだけでなく,収穫後に落葉が起こることによって樹勢が低下し,翌年の果実品質にも悪影響が及ぶと考えられた.
Bibliography:601252
ZZ00014825
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.43.189