日本の栽培ダイコンにおける自家不和合性遺伝子と自家不和合性程度の遺伝的変異

日本における栽培ダイコンの採種関連形質に関して遺伝的変異を知る目的で, 在来品種を中心に23品種群219系統を用い, 自家不和合性遺伝子S, 自家不和合性程度ならびに一英粒数を調査した. 検定交配ならびにPCRRFLPによりS対立遺伝子はS201-S237の37種類が同定された. S対立遺伝子の種類から供試品種群の類別を数量化理論IV類からの主成分分析より試みた結果, 形態形質や古来の地理的分布により従来類別されている品種群との対応は認められず, S遺伝子は日本の栽培ダイコン系統分化に対してほぼ中立であったことが示唆された. 自家不和合性程度は, 人工開花自家受粉を行った交配花数あたりの結実莢...

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Published inIkushugaku kenkyu Vol. 1; no. 4; pp. 211 - 220
Main Authors 新倉, 聡, 松浦, 誠司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本育種学会 01.12.1999
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Summary:日本における栽培ダイコンの採種関連形質に関して遺伝的変異を知る目的で, 在来品種を中心に23品種群219系統を用い, 自家不和合性遺伝子S, 自家不和合性程度ならびに一英粒数を調査した. 検定交配ならびにPCRRFLPによりS対立遺伝子はS201-S237の37種類が同定された. S対立遺伝子の種類から供試品種群の類別を数量化理論IV類からの主成分分析より試みた結果, 形態形質や古来の地理的分布により従来類別されている品種群との対応は認められず, S遺伝子は日本の栽培ダイコン系統分化に対してほぼ中立であったことが示唆された. 自家不和合性程度は, 人工開花自家受粉を行った交配花数あたりの結実莢数, すなわち自殖結実率で評価した. 供試系統には0%から100%までの遺伝的変異が認められたが, 品種群間の差は認められなかった. また蕾受粉における一莢粒数では, 0.9-6.2粒までの遺伝的変異が認められた. なお, これら3形質間には相関関係は認められなかった. 以上の結果を基に, ダイコン遺伝資源における採種関連形質評価の重要性と, これら形質の選抜上の留意点について考察した.
Bibliography:600927
ZZ00015503
ISSN:1344-7629
1348-1290
DOI:10.1270/jsbbr.1.211