広食性蚕利用による人工飼料への家畜用飼料素材の導入

魚粉や酵母など家畜用飼料素材を添加した人工飼料に対する蟻蚕の摂食性並びにその後の成長について, 原種, 交雑種及び広食性蚕の間で比較した。その結果, 用いた飼料に対する摂食性は蚕品種によって著しく異なり, 日本種系統の沢J及び日01号の摂食性は良好で生存率も高いが, 中国種系統の中01号では全ての飼料区で5日後まで生存する個体は認められなかった。また, 交雑種の摂食性は極めて低く, 魚粉, 蚕蛹粉末及びアルファルファ添加区では大部分の幼虫が死亡した。一方, 育成中の広食性蚕はこれらの飼料に対して極めて高い毛振るい率を示し, その後の生存率も高いことが分かった。また, 広食性蚕は飼料に桑葉粉末を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 58; no. 5; pp. 401 - 406
Main Authors 柳川, 弘明, 中村, 匡利, 渡辺, 喜二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.10.1989
日本蠶絲學會
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen1930.58.401

Cover

More Information
Summary:魚粉や酵母など家畜用飼料素材を添加した人工飼料に対する蟻蚕の摂食性並びにその後の成長について, 原種, 交雑種及び広食性蚕の間で比較した。その結果, 用いた飼料に対する摂食性は蚕品種によって著しく異なり, 日本種系統の沢J及び日01号の摂食性は良好で生存率も高いが, 中国種系統の中01号では全ての飼料区で5日後まで生存する個体は認められなかった。また, 交雑種の摂食性は極めて低く, 魚粉, 蚕蛹粉末及びアルファルファ添加区では大部分の幼虫が死亡した。一方, 育成中の広食性蚕はこれらの飼料に対して極めて高い毛振るい率を示し, その後の生存率も高いことが分かった。また, 広食性蚕は飼料に桑葉粉末を5%添加すると供試した大部分の飼料区で100%の毛振るい率が得られ, 生存率も向上した。以上の結果から, 広食性蚕を利用することによって家畜用飼料素材の導入が可能となり, 桑葉粉末の添加量も5%程度まで削減できることが明らかとなった。
Bibliography:441051
ZZ00018606
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.58.401