マナマコ Apostichopus japonicus 稚仔の移動および摂餌活動に及ぼす体長および水温の影響

体長および水温による行動変化が稚ナマコの成長差に及ぼす影響を解明するため,移動距離と摂餌活動を比較した。実験には7.0~58.6 mm の稚ナマコを供した。水温条件は6~18℃の範囲とし,自然水温の変化に準じて水温調節しながら移動距離を測定した。摂餌活動の観察では,水温を上昇および降下させながら設定条件に到達させた昇温および降温群を用いた。稚ナマコは水温10℃前後では活発に移動したが,14℃以上では移動量を減らして摂餌を継続した。また,稚ナマコは昇温群では体長増加および水温上昇に伴って摂餌個体割合と摂餌継続時間が増加したが,降温群では体長35 mm 以上および水温18℃の条件を除いて摂餌活動に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inSuisan Zoshoku Vol. 72; no. 1; pp. 21 - 30
Main Authors 田中, 海, 櫻井, 泉
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本水産増殖学会 2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0371-4217
2185-0194
DOI10.11233/aquaculturesci.72.21

Cover

More Information
Summary:体長および水温による行動変化が稚ナマコの成長差に及ぼす影響を解明するため,移動距離と摂餌活動を比較した。実験には7.0~58.6 mm の稚ナマコを供した。水温条件は6~18℃の範囲とし,自然水温の変化に準じて水温調節しながら移動距離を測定した。摂餌活動の観察では,水温を上昇および降下させながら設定条件に到達させた昇温および降温群を用いた。稚ナマコは水温10℃前後では活発に移動したが,14℃以上では移動量を減らして摂餌を継続した。また,稚ナマコは昇温群では体長増加および水温上昇に伴って摂餌個体割合と摂餌継続時間が増加したが,降温群では体長35 mm 以上および水温18℃の条件を除いて摂餌活動に差はみられなかった。以上より,稚ナマコは高水温下においてエネルギー消費抑制のために移動量を減少させて,摂餌継続時間を増加させることが示唆された。また,稚ナマコの成長差は昇温下において拡大することが推察された。
Bibliography:ZZ00008678
951465
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.72.21