浸透強度が汎用化水田の温室効果ガス排出量に与える影響 大気環境保全機能の強化を付加した圃場整備事業の実現に向けて

主要な温室効果ガス(CH4とN2O)排出の低減機能を強化することを目的とした汎用化水田による浸透試験を行った.その結果, 積雪寒冷地での従来型還元田の実測値と比べて, 1/5から1/3程度の低い値が観測された.地球温暖化係数(GWP)から算出したCO2相当量(等価量)を検討した結果, 透水性の高い火山灰土整備水田では, 適度な浸透強度を常に有するのではなく, 浸透水がほとんど生じない基盤構造を有し, 必要時に迅速な灌水と落水が可能な水田構造が, 主要な温室効果ガス(CH4とN2O)排出量の低減と水稲生育に有効であることが示唆された.わが国の圃場整備技術は, 温室効果ガス排出量の低減強化という新...

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Published inNōgyō Nōson Kōgakkai ronbunshū Vol. 87; no. 2; pp. I_313 - I_325
Main Authors 石川, 雅也, 飯田, 俊彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 農業農村工学会 2019
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Summary:主要な温室効果ガス(CH4とN2O)排出の低減機能を強化することを目的とした汎用化水田による浸透試験を行った.その結果, 積雪寒冷地での従来型還元田の実測値と比べて, 1/5から1/3程度の低い値が観測された.地球温暖化係数(GWP)から算出したCO2相当量(等価量)を検討した結果, 透水性の高い火山灰土整備水田では, 適度な浸透強度を常に有するのではなく, 浸透水がほとんど生じない基盤構造を有し, 必要時に迅速な灌水と落水が可能な水田構造が, 主要な温室効果ガス(CH4とN2O)排出量の低減と水稲生育に有効であることが示唆された.わが国の圃場整備技術は, 温室効果ガス排出量の低減強化という新たな価値が付加された農業基盤創成技術として実現されることが期待できる.
Bibliography:ZZ20032779
935487
ISSN:1882-2789
1884-7242
DOI:10.11408/jsidre.87.I_313