Agrobacterium rhizogenesによるMentha aquaticaへの遺伝子導入

ハッカ属植物Mentha aquaticaについてAgyobacteyium rhizogenesを用い遺伝子導入を行った.バイナリーベクターとしてpBI121及びpTH-LCを用いた.pTH-LCは, スペアミントから単離されたリモネン合成酵素遺伝子をpBI121に組み込んだものである.これらのバイナリーベクターの保持菌株を感染させた植物切片より, 毛状根を得た.カルス化及び再分化誘導を経て, これらの毛状根から3個体が再分化した.このうち1個体はpBI121導入菌により生じた毛状根に由来し, 他の2個体はpTH-LC導入菌により生じた毛状根に由来するものであった.PCR法およびSouthe...

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Published inNettai nōgyō Vol. 47; no. 3; pp. 182 - 189
Main Authors 井上, 文秀, 内田, 英史, 小松, 毅史, 田淵, 晃, 唐澤, 傳英, 南, 峰夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本熱帯農業学会 01.09.2003
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Summary:ハッカ属植物Mentha aquaticaについてAgyobacteyium rhizogenesを用い遺伝子導入を行った.バイナリーベクターとしてpBI121及びpTH-LCを用いた.pTH-LCは, スペアミントから単離されたリモネン合成酵素遺伝子をpBI121に組み込んだものである.これらのバイナリーベクターの保持菌株を感染させた植物切片より, 毛状根を得た.カルス化及び再分化誘導を経て, これらの毛状根から3個体が再分化した.このうち1個体はpBI121導入菌により生じた毛状根に由来し, 他の2個体はpTH-LC導入菌により生じた毛状根に由来するものであった.PCR法およびSouthern blot法を用いた解析により, 再生体のクロモゾームに導入された遺伝子の検出を試みたところ, すべての再生体においてrol遺伝子の存在を確認した.同様にpBI121導入植物のみからβ-グルクロニダーゼ (GUS) 遺伝子の存在を確認した.さらに, pBI121を介してGUS遺伝子が導入された再生体において, 4-メチルウンベリルフェリルグルクロニド (4-MUG) を用いた蛍光測定により, GUSの発現を確認した.また, 各再生個体から水蒸気蒸留により精油を得た.これら精油についてガスクロマトグラフィーにより分析を行った.その結果, 1個体が親植物とは成分組成の異なる精油を生産していた.従来の主成分である鎖状モノテルペンのリナロール及びリナリルアセテートの他に, 環状モノテルペンのメントン及びメントールを生産していた.この個体はpTH-LC導入菌による毛状根より再分化したものであり, そのゲノムに菌由来のrol遺伝子は導入されていたが, pTH-LC由来の遺伝子は検出されなかった.このことから, この個体の精油の組成に変化が生じたのは, rol遺伝子によるものであることが示唆された.
Bibliography:ZZ00014546
681665
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.47.182