猫の視覚誘発電位における刺激方法との関連について

獣医学における視覚障害の客観的評価を行うための基準の一助として,猫において視覚誘発電位(VEP)の基本的波形の確立を試みた.1) VEPの記録部位について検討したところ,最も大きな反応が得られた部位は後頭部領域の傍正中であった.2) 猫のVEPは閃光刺激後100msec以内に3種の波形成分(P1, N1, P2)がみられた.3) 閃光強度によるVEP波形の変化について検討したところ,閃光強度の増加に伴い各成分の潜時は減少し,振幅は増大する傾向がみられたが,閃光強度0.6Jにおいて飽和傾向が認められた.4) 麻酔後の時間経過に伴うVEP波形の変動について調べたが,潜時はほとんど変化無く,振幅は個...

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Published inJapanese journal of veterinary science Vol. 51; no. 3; pp. 547 - 553
Main Authors 宇塚, 雄次, 土井, 章三, 徳力, 幹彦, 松本, 治康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1989
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Summary:獣医学における視覚障害の客観的評価を行うための基準の一助として,猫において視覚誘発電位(VEP)の基本的波形の確立を試みた.1) VEPの記録部位について検討したところ,最も大きな反応が得られた部位は後頭部領域の傍正中であった.2) 猫のVEPは閃光刺激後100msec以内に3種の波形成分(P1, N1, P2)がみられた.3) 閃光強度によるVEP波形の変化について検討したところ,閃光強度の増加に伴い各成分の潜時は減少し,振幅は増大する傾向がみられたが,閃光強度0.6Jにおいて飽和傾向が認められた.4) 麻酔後の時間経過に伴うVEP波形の変動について調べたが,潜時はほとんど変化無く,振幅は個体間,個体内ともバラつきが大きく,特定の傾向はみられなかった.
Bibliography:ZZ00004647
440271
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.51.547