浮稲の深水下における分げつ芽の葉の分化並びに減水後における分げつ芽の生長

浮稲を深水条件下で生育させた時の分げつ芽の茎頂部における葉の分化を観察し, また深水条件から浅水条件に移した後の分げつ芽の生長を観察した.深水中でも葉齢7の植物体では第7節分げつ芽が既に分化しており, 分げつ芽の分化には深水による抑制がなかった.また分化直後の分げつ芽の分化葉数にも深水の影響はみられず, 主茎葉齢7の時期の第7節分げつ芽は浅水, 深水いずれの条件下でも前葉1枚又は前葉と第1葉の2枚の葉を分化していた.その後の葉の分化には深水による抑制がみられた.しかし, 深水下でも葉の分化は, 遅いながらも, 停止することなく進んでいた.深水条件下で生育させた稲を主茎葉nの時期に浅水条件に移す...

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Published inNettai nōgyō Vol. 35; no. 2; pp. 118 - 126
Main Authors 花田, 毅一, 生地, 陽, 香川, 邦雄, 小島, 一郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本熱帯農業学会 01.06.1991
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Summary:浮稲を深水条件下で生育させた時の分げつ芽の茎頂部における葉の分化を観察し, また深水条件から浅水条件に移した後の分げつ芽の生長を観察した.深水中でも葉齢7の植物体では第7節分げつ芽が既に分化しており, 分げつ芽の分化には深水による抑制がなかった.また分化直後の分げつ芽の分化葉数にも深水の影響はみられず, 主茎葉齢7の時期の第7節分げつ芽は浅水, 深水いずれの条件下でも前葉1枚又は前葉と第1葉の2枚の葉を分化していた.その後の葉の分化には深水による抑制がみられた.しかし, 深水下でも葉の分化は, 遅いながらも, 停止することなく進んでいた.深水条件下で生育させた稲を主茎葉nの時期に浅水条件に移すと第 (n-1) 節以上の分げつ芽は確実に生長し, 第 (n-3) 節以下の分げつ芽は生長しなかった.第 (n-2) 節の分げつ芽は時に若干の生長を示したが, 多くは主茎葉鞘外に分げつとして出現することはなかった.深水条件, 密植条件など不良条件下での分げつ芽の生長を考察した結果, 葉齢nの時期の第 (n-2) 節分げつ芽, 換言すれば分化後2葉齢経過した時期の分げつ芽が生長を再開するかしないかの臨界の分げつ芽であることが示された.
Bibliography:471656
ZZ00014546
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.35.118