シロクラベラの産卵期及び性構造に関するいくつかの知見

シロクラベラ (Choerodon schoenleinii) の産卵期及び性構造を調べるため, 1986年4月から1990年6月までの間に沖縄島周辺海域から入手した289尾の標本の生殖腺を組織学的に観察した. 生殖腺重量指数 (GSI) は12月頃から増加を始め3,4月にピークを迎えた後減少し, 7月から11月まで低いレベルで推移した.卵巣の成熟段階の推移をみると11月から卵黄蓄積期が開始し, 吸水期の卵巣は2月から5月にかけて非常に高い割合で出現した.吸水期の卵巣及び排卵痕を持った卵巣の出現割合から推定した産卵間隔はほぼ一致し, 2月に1.4日, 3月に1.0日, 4月に1.0日, 5月に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inGyoruigaku zasshi Vol. 42; no. 2; pp. 121 - 130
Main Authors 海老沢, 明彦, 金城, 清昭, 本永, 文彦, 喜屋武, 俊彦
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本魚類学会 1995
Online AccessGet full text
ISSN0021-5090
1884-7374
DOI10.11369/jji1950.42.121

Cover

More Information
Summary:シロクラベラ (Choerodon schoenleinii) の産卵期及び性構造を調べるため, 1986年4月から1990年6月までの間に沖縄島周辺海域から入手した289尾の標本の生殖腺を組織学的に観察した. 生殖腺重量指数 (GSI) は12月頃から増加を始め3,4月にピークを迎えた後減少し, 7月から11月まで低いレベルで推移した.卵巣の成熟段階の推移をみると11月から卵黄蓄積期が開始し, 吸水期の卵巣は2月から5月にかけて非常に高い割合で出現した.吸水期の卵巣及び排卵痕を持った卵巣の出現割合から推定した産卵間隔はほぼ一致し, 2月に1.4日, 3月に1.0日, 4月に1.0日, 5月に1.2日となった.GSI及び成熟段階の推移, 産卵間隔, 群成熟率から推定された主産卵期は2月から5月までで, 3,4月に最も活発に産卵すると考えられた.成熟を開始する雌の全長は24cm前後であった. 本種は雌性先熟の性転換を行う.289尾の標本中で雌, 性転換中の個体, 雄はそれぞれ242尾, 13尾34尾得られた.全長範囲は雌が16.7-62.7cm, 性転換中の個体が48.0-64.7cm, 雄が40.5-76.9cmで, 出現した雄はその精巣構造から全て二次雄であった.卵巣から精巣へと転換する様式は他のべラ類と同様に精細胞全域混在型であった.また本種は性転換に伴う体色変化を示した.雌の体色は緑黄色であるが雄への転換に伴って青みを帯びた体色への変化を示し, 体色と性はほぼ例外なく一致した.
Bibliography:ZZ20005607
561711
ISSN:0021-5090
1884-7374
DOI:10.11369/jji1950.42.121