胃切除ラットの血中グルコース応答に対する各種糊化デンプン投与の影響

• Published in: Nippon nōgei kagakukaishi Vol. 61; no. 5; pp. 581 - 585
• Main Authors: 海老原, 清, 中島, 昭
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益社団法人 日本農芸化学会 01.05.1987
• ISSN: 0002-1407; 1883-6844
• DOI: 10.1271/nogeikagaku1924.61.581

ラットに胃切除手術を施し胃の関与をなくした条件下での5種類(トウモロコシ,米,小麦,サツマイモ,ジャガイモ)の精製糊化デンプンの血中グルコース応答を検討した.体重約150gのウイスター系雄ラット20匹を対照群と胃切除群の2群に分けそれぞれに各デンプン試料(グルコースとして250mg/100g体重)を経口投与し血糖値の変化を経時的に測定した. (1) 対照群のラットはトウモロコシ,米,小麦デンプンの投与に対し類似の血中グルコース応答を示した.一方ジャガイモおよびサツマイモデンプン投与ではこれと異なる反応を示した. (2) 胃切除群にトウモロコシあるいは米デンプンを投与すると血糖値の急激な変動が起きた.ジャガイモデンプンはこれと類似の反応を示したがサツマイモデンプン投与では血糖値の上昇速度,下降速度とも他のデンプン投与時に比べ著しく遅く,血糖値のピークも有意に低かった. (3) サツマイモデンプン投与後の対照群と胃切除群の血中グルコース応答には有意な差は認められなかった. (4) ジャガイモデンプンの胃内滞留時間は長く,またサツマイモデンプンの消化・吸収速度は遅かった. (5) 胃の切除による消化吸収過程への大きな影響がなかったと仮定すればトウモロコシ,米および小麦デンプン投与に対する血中グルコース応答の「rate-limiting step」は胃から小腸への移動過程であると考えられる.またジャガイモデソプンは胃内滞留時間が長いため,サツマイモデンプンは消化速度が遅いため他のデンプンとは異なる血中グルコース応答を示すと考えられる.