木質バイオマス需要と最適伐期,最適間伐体系の関係 栃木県北地域をモデルとして

林業収益性に関わる材価等の多数の条件因子を柔軟に扱える単一林分経営シミュレーターによって土地期望価が最大となる間伐体系・伐期を探索し,発電用途等の木質バイオマス需要の登場がそれらに与える影響について検討した。対象として車両系作業システムが主流の栃木県北地域のスギ人工林を想定した。土地期望価が負となり皆伐再造林をなるべく延期するため長伐期を最善とする条件も多かったが,比較的低コストな伐出が可能で製材用材需要が堅実と想定する本研究の条件下では,設定上限である3回の利用間伐を実施して65 年といった中程度の伐期齢を最適とする場合も多かった。バイオマス需要の登場による燃料材価格の上昇を見込んで試算する...

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Published inNihon Shinrin Gakkaishi Vol. 99; no. 6; pp. 251 - 258
Main Authors 有賀, 一広, 當山, 啓介, 鈴木, 保志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.12.2017
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.99.251

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Summary:林業収益性に関わる材価等の多数の条件因子を柔軟に扱える単一林分経営シミュレーターによって土地期望価が最大となる間伐体系・伐期を探索し,発電用途等の木質バイオマス需要の登場がそれらに与える影響について検討した。対象として車両系作業システムが主流の栃木県北地域のスギ人工林を想定した。土地期望価が負となり皆伐再造林をなるべく延期するため長伐期を最善とする条件も多かったが,比較的低コストな伐出が可能で製材用材需要が堅実と想定する本研究の条件下では,設定上限である3回の利用間伐を実施して65 年といった中程度の伐期齢を最適とする場合も多かった。バイオマス需要の登場による燃料材価格の上昇を見込んで試算すると,最適な利用間伐回数はほぼ変わらず,最適伐期齢は主として不変もしくは5~10 年程度短くなるという結果であった。バイオマス需要の登場による最適な伐期と間伐回数への影響は限定的ではあるが,最適伐期の短縮は対象地域における近年の皆伐推進の経済合理性を裏付ける材料となりうる。
Bibliography:ZZ20018854
920553
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.99.251