音響による食品物性評価法

超音波音速を測定することで,乳酸発酵過程のミルクカード強度の時間変化や,食品モデルの冷凍過程における凍結率変化のモニタリングが可能であることを見出した.一方,青果物の超音波音速は,組織の「かたさ」ではなく,組織内ガス体積分率支配であるが,周波数の低い打撃振動の伝播速度は,「かたさ」を表す弾性率と高い相関を示すことを明らかにした.また,ヘルムホルツ音響共鳴現象を利用した食品の体積や密度の測定装置を開発した.そして食品中の空隙の存在が,共鳴周波数の低周波シフトをもたらすことを見出すとともに,空隙がもたらす物性と共鳴周波数の関係に関する理論的考察を行い,ビールの泡の特性やパンのきめ評価への利用を提案...

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Published in日本食品工学会誌 Vol. 21; no. 2; pp. 53 - 62
Main Author 西津, 貴久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本食品工学会 15.06.2020
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Summary:超音波音速を測定することで,乳酸発酵過程のミルクカード強度の時間変化や,食品モデルの冷凍過程における凍結率変化のモニタリングが可能であることを見出した.一方,青果物の超音波音速は,組織の「かたさ」ではなく,組織内ガス体積分率支配であるが,周波数の低い打撃振動の伝播速度は,「かたさ」を表す弾性率と高い相関を示すことを明らかにした.また,ヘルムホルツ音響共鳴現象を利用した食品の体積や密度の測定装置を開発した.そして食品中の空隙の存在が,共鳴周波数の低周波シフトをもたらすことを見出すとともに,空隙がもたらす物性と共鳴周波数の関係に関する理論的考察を行い,ビールの泡の特性やパンのきめ評価への利用を提案した.さらに,油ちょう食品の咀嚼中に生ずるクラック振動の発生頻度がサクサク感の官能評価結果と高い相関にあることを明らかにした.
Bibliography:935215
ZZ20014033
ISSN:1345-7942
1884-5924
DOI:10.11301/jsfe.20571