クワゴマダラヒトリの食害部位がブドウ‘デラウェア’の新梢生育と果実生産に及ぼす影響

クワゴマダラヒトリの加害を受けた露地栽培‘デラウェア’の新梢47本を調査した結果,食害部位としては葉が 89.4%ともっとも多く,次いで花房が 42.6%,生長点が 38.3%で,このうち 27.7%は葉,花房,生長点の複合害であった。これら異なる部位の食害を受けた新梢と,それを模した人為的な損傷を施した新梢について,その後の展葉数の増加や伸長,果実の着生やその品質を分析した。その結果,葉の損傷の場合,全葉が失われると着粒が阻害されて果房重が減じた。しかし,実際に本種の加害を受けた新梢の大半は部分的な葉の損傷に留まり,少なくとも全葉の半分以下の食害であれば,新梢生育,着果,果実品質に影響がなく...

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Published inKansai Byōchūgai Kenkyūkaihō Vol. 61; no. 61; pp. 23 - 29
Main Author 細見, 彰洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 関西病虫害研究会 31.05.2019
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Summary:クワゴマダラヒトリの加害を受けた露地栽培‘デラウェア’の新梢47本を調査した結果,食害部位としては葉が 89.4%ともっとも多く,次いで花房が 42.6%,生長点が 38.3%で,このうち 27.7%は葉,花房,生長点の複合害であった。これら異なる部位の食害を受けた新梢と,それを模した人為的な損傷を施した新梢について,その後の展葉数の増加や伸長,果実の着生やその品質を分析した。その結果,葉の損傷の場合,全葉が失われると着粒が阻害されて果房重が減じた。しかし,実際に本種の加害を受けた新梢の大半は部分的な葉の損傷に留まり,少なくとも全葉の半分以下の食害であれば,新梢生育,着果,果実品質に影響がなく,通常の生産が可能であった。一方,花房の損傷は果房の一部または全体の欠失に直結した。また,生長点の損傷では,当年の果実生産には影響が少なかったが,新梢自体の生育は著しく抑制され,越冬できず枯死する場合が多かった。従って,食害によって花房や生長点の損傷を受けた新梢は早期の芽欠きが妥当であった。
Bibliography:947898
ZZ00014994
ISSN:0387-1002
1883-6291
DOI:10.4165/kapps.61.23