シンテッポウユリ(Lilium × formolongi hort.)種子の高温による発芽不揃いの原因

シンテッポウユリの高温時(24℃)に発生する発芽不揃いの原因を調査した.高温によりα-アミラーゼ活性が阻害され貯蔵デンプンの加水分解とグルコース含量の増加が抑制された.また,種子のエチレン生成量が増加し,発芽阻害物質であるABA含量の上昇もみられた.エチレンの作用阻害剤(STSおよび1-MCP)処理および翼除去処理は高温時の発芽不揃いの改善に有効であった.さらに,1-MCP処理はセルトレイに播種した種子の高温時における発芽率の向上にも有効であった.これらの結果から,高温時に発生する発芽不揃いは高温により種子のエチレン生成量と発芽阻害物質であるABA含量が増加すること,さらにはα-アミラーゼ活性...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 9; no. 4; pp. 427 - 431
Main Authors 松本, 和浩, 中田, 昇, 鷹見, 敏彦, 田村, 文男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2010
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Summary:シンテッポウユリの高温時(24℃)に発生する発芽不揃いの原因を調査した.高温によりα-アミラーゼ活性が阻害され貯蔵デンプンの加水分解とグルコース含量の増加が抑制された.また,種子のエチレン生成量が増加し,発芽阻害物質であるABA含量の上昇もみられた.エチレンの作用阻害剤(STSおよび1-MCP)処理および翼除去処理は高温時の発芽不揃いの改善に有効であった.さらに,1-MCP処理はセルトレイに播種した種子の高温時における発芽率の向上にも有効であった.これらの結果から,高温時に発生する発芽不揃いは高温により種子のエチレン生成量と発芽阻害物質であるABA含量が増加すること,さらにはα-アミラーゼ活性の低下によりデンプンの加水分解が抑制され,グルコース含量が減少することによって発生していると推察された.
Bibliography:800170
ZZ20004168
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.9.427