スパティフィラム‘ニューメリー’の茎頂分裂組織へのin vitroコルヒチン処理による倍数体作出

スパティフィラムは濃緑色の葉と白色の仏炎苞のコントラストが高く評価される室内観賞植物であるが,仏炎苞が白色で変異に乏しく,新たな育種を進めるためには野生種の活用が有効である.四倍体の育成は,交雑が困難な種間や属間交雑個体の育成において有用な育種手法である.そこで本研究では,効率的な四倍体の育成方法の開発を目的として,in vitroでのコルヒチン処理を検討した.スパティフィラム‘New merry’を用い,殺菌処理前の未展開葉の除去数,摘出する茎頂分裂組織の葉原基数,倍数化処理期間および処理方法を検討した.雑菌汚染を回避するために,殺菌処理前の未展開葉の除去数を多くし,さらに摘出した茎頂分裂組...

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Published inEngeigaku kenkyuu Vol. 13; no. 3; pp. 213 - 219
Main Authors 小笠原, 利恵, 落合, 正樹, 西川, 和男, 福井, 博一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 園芸学会 2014
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Summary:スパティフィラムは濃緑色の葉と白色の仏炎苞のコントラストが高く評価される室内観賞植物であるが,仏炎苞が白色で変異に乏しく,新たな育種を進めるためには野生種の活用が有効である.四倍体の育成は,交雑が困難な種間や属間交雑個体の育成において有用な育種手法である.そこで本研究では,効率的な四倍体の育成方法の開発を目的として,in vitroでのコルヒチン処理を検討した.スパティフィラム‘New merry’を用い,殺菌処理前の未展開葉の除去数,摘出する茎頂分裂組織の葉原基数,倍数化処理期間および処理方法を検討した.雑菌汚染を回避するために,殺菌処理前の未展開葉の除去数を多くし,さらに摘出した茎頂分裂組織を小さくした場合には,次亜塩素酸ナトリウムとコルヒチンによる障害のため,生存率が著しく低下した.これらの障害を回避するために,4~5枚の未展開葉を持つ供試材料を表面殺菌し,3~4個の葉原基を持つ茎頂分裂組織を摘出した結果,生存率が上昇した.倍数化個体の獲得率は,摘出した茎頂分裂組織を0.1 µM NAAと10 µM BAPを含むMS培地で1か月間初代培養した後に,コルヒチンを含むMS培地で14日間処理した場合に高くなり,0.01%区で31.3%と最も高くなった.得られた四倍体の葉は二倍体に対して幅広の形態を示し,仏炎苞は二倍体に対してやや小さかった.
Bibliography:ZZ20004168
873048
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.13.213