雛における血清ビテリン産生能と実用形質との関係ならびにその育種的見解
従来, 報告して来たエストロジェン投与雛における血清ビテリン産生能としての血清ビテリン反応回帰係数bおよびその代替簡便法としてのアセトン処理による混濁度から得た回帰係数b'が, 鶏の種々の実用形質とどのように関連するかを明らかにする為に本実験を行なった。また同時に血清ビテリン産生能が実用鶏育種上いかなる意義を有するかについても考察した。 供試鶏としては, Rapp(Ra), Forsgate(Fo), Thornber (Th), Garber(G)の4系統の白色レゲホーン種雌雛を各系統につき約80羽づつ計327羽を使用した。これらの雛は60日齢より10日間エストロジェンを投与し連日...
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Published in | Nihon Kakin Gakkaishi Vol. 14; no. 3; pp. 131 - 137 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本家禽学会
01.05.1977
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ISSN | 0029-0254 |
DOI | 10.2141/jpsa.14.131 |
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Summary: | 従来, 報告して来たエストロジェン投与雛における血清ビテリン産生能としての血清ビテリン反応回帰係数bおよびその代替簡便法としてのアセトン処理による混濁度から得た回帰係数b'が, 鶏の種々の実用形質とどのように関連するかを明らかにする為に本実験を行なった。また同時に血清ビテリン産生能が実用鶏育種上いかなる意義を有するかについても考察した。 供試鶏としては, Rapp(Ra), Forsgate(Fo), Thornber (Th), Garber(G)の4系統の白色レゲホーン種雌雛を各系統につき約80羽づつ計327羽を使用した。これらの雛は60日齢より10日間エストロジェンを投与し連日採血によってその間における血清ビテリン産生の状態をb'として個体ごとに算出した。それらの雛は性成熟後, すなわち産卵開始後4カ月間の記録が得られるまで飼育した。その結果, 300日齢時卵重, 300日齢時体重, 初産開始後4カ月間の産卵率, 300日齢時までの産卵数および初産日齢等の形質を選んでb'との関係について検討した。そのほか, 育成から産卵調査期間中にわたる死亡数の調査を行ない, その結果についても検討を加えた。 産卵諸形質について系統ごとに最小自乗平均値を求め, 差の検定を行なったところ, b'については系統間に全く差が認められなかったが, その他の形質については系統により有意差が認められた。またそれらの形質間相互の相関を求めてみるとb'と卵重, 体重および初産日齢との間に有意な相関が認められ, 偏相関を求めた結果からもそれが明らかになった。しかしながら, b'と産卵率または産卵数の間にはそれぞれ有意な相関は認められず, 特にb'と産卵率について分布状態を観察した結果, b'がほぼ正規型に準ずる分布を示すのに対し, 産卵率では75%をこえると出現頻度は激減し, 正規型とは認め難い異常な分布を示していた。そしてまた, b'の平均値附近には産卵率80%以上を示す個体の出現がわずかながら観察された。 一方試験鶏の中にはb'の値の低いものに死亡する個体の出現が多く, x2-検定結果もきわめて有意であった。 以上の種々の結果から考察して, b'の値が直接, 種々の実用形質との間に何らかの相関関係の認められたものもあったが, それよりはむしろb'の値として示された血清ビテリン産生能は, 個体の生理的機能と密接に関与し, 正常な機能を有する個体の判定に対して有効な一指標として重要な意義を有することが示唆された。 |
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Bibliography: | 153597 ZZ20005654 |
ISSN: | 0029-0254 |
DOI: | 10.2141/jpsa.14.131 |