西日本暖地で栽培した北海道育成コムギ品種ハルユタカの収穫指数と粒重の低下

要旨 : 西日本暖地で栽培する新たな品種を導入することを目的として,山口市で北海道育成品種ハルユタカを1995/1996年から1998/1999年までの4シーズン・9試験条件で栽培試験した.試験結果は,九州育成品種ダイチノミノリと比較することにより検討した.収量は,ほとんどすべての試験条件でハルユタカがダイチノミノリより低かった.これは,ハルユクカがダイチノミノリよりも収穫指数が低く,千粒重が軽かったためであった.また,稈の可溶性炭水化物含有率は,ハルユタカでは開花期が乳熟期よりも高く,登熟前半に稈に貯蔵養分が蓄積しなかったことを示唆した.ハルユタカは,全乾物重が重くなる条件下では,シンク容量...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 71; no. 4; pp. 475 - 480
Main Authors 野見山, 淳, 柴田, 香織, 中川, 悠子, 高橋, 肇, 島内, 佳奈恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2002
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.71.475

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Summary:要旨 : 西日本暖地で栽培する新たな品種を導入することを目的として,山口市で北海道育成品種ハルユタカを1995/1996年から1998/1999年までの4シーズン・9試験条件で栽培試験した.試験結果は,九州育成品種ダイチノミノリと比較することにより検討した.収量は,ほとんどすべての試験条件でハルユタカがダイチノミノリより低かった.これは,ハルユクカがダイチノミノリよりも収穫指数が低く,千粒重が軽かったためであった.また,稈の可溶性炭水化物含有率は,ハルユタカでは開花期が乳熟期よりも高く,登熟前半に稈に貯蔵養分が蓄積しなかったことを示唆した.ハルユタカは,全乾物重が重くなる条件下では,シンク容量を増大することで粒重を増し,収穫指数,子実収量を高めた.一方,ダイチノミノリは,たとえシンク容量を小さく抑えても登熟期間のソース能を高めることで収穫指数を高めた.ハルユクカは西日本暖地で栽培した場合,登熟期間の光合成能に関わらず,稈の貯蔵養分を速やかに子実へと転流することで千粒重,収穫指数の値を高め,子実収量を高める品種であると思われた.
Bibliography:661419
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.71.475