医薬品の適正使用のための薬学的ケアの意義に関する研究 (第1報) 薬物治療の安全性と有効性に及ぼす薬物モニタリングの有用性

我々は,複雑化する薬物治療の安全性および有効性を高めるために様々な薬物モニタリングを実践してきた。本研究では,我々が実施した薬学的ケアが薬物治療に貢献したかどうかを検討した。薬剤師からの提案が臨床に生かされた件数の年次推移は増加傾向を示し,4年間で計1,014件に上った。特に,がん化学療法に関連する事例の増加は顕著であった。さらに,その内訳を見るとがん化学療法の領域においては投与量に関する事例が最も多く,薬物治療の安全確保において極めて重要な貢献であったことが示唆された。加えて,がん化学療法以外の領域においては,患者の病態や臨床検査データに基づいた提案が増え,より深い関与がなされつつあることが...

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Published inNihon Nōson Igakkai zasshi Vol. 57; no. 1; pp. 8 - 15
Main Authors 祢宜田, 和正, 濱石, 華乃子, 間瀬, 悟, 中村, 和行, 河村, 真由美, 三浦, 崇則, 大野, 愛, 鈴村, 友香里, 米山, 英二, 小嶋, 智子, 奥平, 正美, 勝見, 章男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.05.2008
日本農村医学会
Subjects
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.57.8

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Summary:我々は,複雑化する薬物治療の安全性および有効性を高めるために様々な薬物モニタリングを実践してきた。本研究では,我々が実施した薬学的ケアが薬物治療に貢献したかどうかを検討した。薬剤師からの提案が臨床に生かされた件数の年次推移は増加傾向を示し,4年間で計1,014件に上った。特に,がん化学療法に関連する事例の増加は顕著であった。さらに,その内訳を見るとがん化学療法の領域においては投与量に関する事例が最も多く,薬物治療の安全確保において極めて重要な貢献であったことが示唆された。加えて,がん化学療法以外の領域においては,患者の病態や臨床検査データに基づいた提案が増え,より深い関与がなされつつあることが示された。また,薬剤師の勤務体制の違いによる検討においては,病棟常駐薬剤師による報告件数の占める割合が全体の62.6%と顕著に多いことが明らかとなった。このことは,将来すべての病棟に薬剤師を常駐させることが,薬物治療の安全性を高める意味で有効であることを示唆している。
Bibliography:ZZ00011651
760325
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.57.8