ラクトフェリン投与による稚アユのストレス耐性強化

海水飼育中の90日齢の稚アユ (全長約43mm) にラクトフェリン (LF) を一日当たり約75mg/kg体重/日の割合で投与して39日間飼育し, 成長, 生残率および体表粘液細胞数の変化を調べた。また, 飼育試験終了後, 一日間絶食飼育した全長約57mmの魚を用い, ストレス負荷試験を行い, LF投与によるストレス耐性の変化を評価した。 LFの投与は稚アユの成長および生残率に影響を与えなかった。LFの投与によって体表粘液細胞数は僅かだが有意に増加し, LFがアユにおいても生体防御活性を高めている可能性が示唆された。ストレス試験では, LF投与区において, 対照区に比べて, 低酸素負荷, ホル...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inSuisan Zoshoku Vol. 46; no. 1; pp. 93 - 96
Main Authors 角田, 出, 尾形, 朋広, 五十嵐, 和昭, 砂田, 一史, 中村, 浩彦, 渋井, 正
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 01.03.1998
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:海水飼育中の90日齢の稚アユ (全長約43mm) にラクトフェリン (LF) を一日当たり約75mg/kg体重/日の割合で投与して39日間飼育し, 成長, 生残率および体表粘液細胞数の変化を調べた。また, 飼育試験終了後, 一日間絶食飼育した全長約57mmの魚を用い, ストレス負荷試験を行い, LF投与によるストレス耐性の変化を評価した。 LFの投与は稚アユの成長および生残率に影響を与えなかった。LFの投与によって体表粘液細胞数は僅かだが有意に増加し, LFがアユにおいても生体防御活性を高めている可能性が示唆された。ストレス試験では, LF投与区において, 対照区に比べて, 低酸素負荷, ホルマリンおよび硫酸銅溶液への曝露時の生存時間が延長した。すなわち, LFを配合飼料に添着し, 投与して飼育した稚アユは, 対照区に比べて, 同程度の物理・化学的刺激が負荷された場合に, 生残率の上昇が認められ, LFの投与は環境の悪化に対する耐性強化に貢献していることが示唆された。
Bibliography:ZZ00008678
572355
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci1953.46.93