家蚕卵における浸酸感受性の選抜と休眠性への影響

家蚕卵において浸酸感受性の生ずる機構の解明に資するため, 浸酸感受性の選抜効果を調べた。1化性の欧16号を用いて毎代1分間即時浸酸し, 孵化率の高い系統 (S系統) と低い系統 (R系統) を選抜した。その結果, S系統は3代目以降80%以上の孵化率を, R系統は7代目から20%以下の孵化率を示した。次に, 25~28代目に両系統の特性調査を行ったところ, 1) S系統の卵は5秒間の浸酸で85%以上孵化したが, R系統は1分間浸酸しても約10%孵化したに過ぎず, 両者の浸酸感受性に大きな差が認められた。2) 両系統は共に低温 (15℃)・暗催青しても非着色非休眠卵は生じなかった。3) S系統で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 58; no. 6; pp. 511 - 516
Main Authors 北澤, 敏男, 木口, 憲爾, 杉山, 八郎, 大槻, 良樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.12.1989
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:家蚕卵において浸酸感受性の生ずる機構の解明に資するため, 浸酸感受性の選抜効果を調べた。1化性の欧16号を用いて毎代1分間即時浸酸し, 孵化率の高い系統 (S系統) と低い系統 (R系統) を選抜した。その結果, S系統は3代目以降80%以上の孵化率を, R系統は7代目から20%以下の孵化率を示した。次に, 25~28代目に両系統の特性調査を行ったところ, 1) S系統の卵は5秒間の浸酸で85%以上孵化したが, R系統は1分間浸酸しても約10%孵化したに過ぎず, 両者の浸酸感受性に大きな差が認められた。2) 両系統は共に低温 (15℃)・暗催青しても非着色非休眠卵は生じなかった。3) S系統では再出卵が6~41%発現した。4) 両系統の休眠卵を低温保護したところ, S系統はR系統より早期に活性化することが分かった。以上の結果から, 浸酸感受性の選抜は有効で, かつ休眠性 (休眠の深さ) にも影響を及ぼすことが明らかになった。
Bibliography:ZZ00018606
442292
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.58.511