家蚕の絹物質生成に関与する生物特性について

家蚕の繭糸の生成量を支配する生物学的要因として, これに, 直接かかわる絹糸腺と体の成長について, 少糸量系および多糸量系の13品種を用いて比較調査した。 絹糸腺の細胞数については実数として, 日本種および支那種と欧州種とのあいだに差が認められるが細胞分裂の回数からみるといずれの品種も同じでちがいがなかった。それゆえに, 絹糸腺の細胞数と繭糸量との対応関係はない。 中部絹糸腺はその腺腔に大量に生成された液状絹を貯留するために多糸量系は少糸量系に比べ2~4倍の重さを示すが, 後部絹糸腺は体重差 (多糸量系は少糸量系の1.2~1.7倍) の範囲内でしか差は認められなかった。 桑葉の消化率はどの品種...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 44; no. 3; pp. 183 - 189
Main Authors 竹下, 弘夫, 須藤, 光正, 倉田, 啓而, 坂手, 栄, 松岡, 道男, 重松, 孟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.06.1975
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:家蚕の繭糸の生成量を支配する生物学的要因として, これに, 直接かかわる絹糸腺と体の成長について, 少糸量系および多糸量系の13品種を用いて比較調査した。 絹糸腺の細胞数については実数として, 日本種および支那種と欧州種とのあいだに差が認められるが細胞分裂の回数からみるといずれの品種も同じでちがいがなかった。それゆえに, 絹糸腺の細胞数と繭糸量との対応関係はない。 中部絹糸腺はその腺腔に大量に生成された液状絹を貯留するために多糸量系は少糸量系に比べ2~4倍の重さを示すが, 後部絹糸腺は体重差 (多糸量系は少糸量系の1.2~1.7倍) の範囲内でしか差は認められなかった。 桑葉の消化率はどの品種も同じであることから体の成長量は桑葉の食下量に比例しているといえる。ところが生成繭の繭層は多糸量系が少糸量系の2~3倍となっており, このことは多糸量系の繭糸生成効率が少糸量系より高まっており, その機能としての根源は絹糸腺自体にあることを考察した。
Bibliography:112100
ZZ00018606
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.44.183