フェノチアジン系色素による生体染色からみた家蚕の絹糸生成の様相

フェノチアジン系色素による生体染色によってとくに家蚕の絹糸腺の染色状況を観察し, 絹糸たんぱくの素材供給の問題を考察した。チオニンを投与すると幼虫皮膚と後部絹糸腺が染色するが, 後部絹糸腺の色素の移行はフィブロインの移行と一致していた。熟蚕時には皮膚からの後部絹糸腺への色素の移行が見られ, この時期のフィブロイン合成における素材の皮膚よりの移行と一致した。さらに, 皮膚より後部絹糸腺への色素の移行は5齢食桑期にもあると考えられた。一方, 4齢においては皮膚へとりこまれた色素はすべて新生皮膚へ移行していた。 フィブロインのフェノチアジン系色素による染色は両者の物理化学結合によっていることが, 差...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 44; no. 6; pp. 462 - 467
Main Authors 竹下, 弘夫, 重松, 孟
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.12.1975
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:フェノチアジン系色素による生体染色によってとくに家蚕の絹糸腺の染色状況を観察し, 絹糸たんぱくの素材供給の問題を考察した。チオニンを投与すると幼虫皮膚と後部絹糸腺が染色するが, 後部絹糸腺の色素の移行はフィブロインの移行と一致していた。熟蚕時には皮膚からの後部絹糸腺への色素の移行が見られ, この時期のフィブロイン合成における素材の皮膚よりの移行と一致した。さらに, 皮膚より後部絹糸腺への色素の移行は5齢食桑期にもあると考えられた。一方, 4齢においては皮膚へとりこまれた色素はすべて新生皮膚へ移行していた。 フィブロインのフェノチアジン系色素による染色は両者の物理化学結合によっていることが, 差スペクトル, および, 繭糸の性状分析で示された。この結合には3位のイミノ基の存在が必須であると考えられた。
Bibliography:ZZ00018606
123178
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.44.462