天蚕など3種鱗翅目昆虫における核多角体病ウイルスの病理組織学的観察

天蚕, 柞蚕およびハスモンヨトウの中腸細胞と脂肪および真皮細胞における天蚕およびハスモンヨトウ核多角体病ウイルス(AyNPVおよびSlNPV) の増殖と個体内の感染経路について病理組織学的に追究した。脂肪および真皮細胞核で産生されたほとんどのヌクレオキャプシッドはエンベロープに被覆され多角体に包埋された。しかし, 3種昆虫とも感染した中腸細胞核ではエンベロープの形成が少なく, ビリオン産生も少なかった。また, 形成する多角体も少数であり, しかもビリオンを包埋しないものが多く, 包埋してもその数が少なかった。産生された多くのヌクレオキャプシッドは核膜孔を通過して細胞質内に移行し, 更に宿主細胞...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 61; no. 4; pp. 295 - 299
Main Authors 林, 玉清, 岩下, 嘉光
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.08.1992
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Summary:天蚕, 柞蚕およびハスモンヨトウの中腸細胞と脂肪および真皮細胞における天蚕およびハスモンヨトウ核多角体病ウイルス(AyNPVおよびSlNPV) の増殖と個体内の感染経路について病理組織学的に追究した。脂肪および真皮細胞核で産生されたほとんどのヌクレオキャプシッドはエンベロープに被覆され多角体に包埋された。しかし, 3種昆虫とも感染した中腸細胞核ではエンベロープの形成が少なく, ビリオン産生も少なかった。また, 形成する多角体も少数であり, しかもビリオンを包埋しないものが多く, 包埋してもその数が少なかった。産生された多くのヌクレオキャプシッドは核膜孔を通過して細胞質内に移行し, 更に宿主細胞膜を被覆して体腔内に出芽し, 体腔内諸組織に吸着・侵入する感染経路が観察された。
Bibliography:ZZ00018606
481436
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.61.295