微量栄養素の新規機能の解明に関する研究 (平成26年度日本栄養・食糧学会学会賞受賞)

「要旨」 (1)「亜鉛の味覚機能維持機構の解明と消化管亜鉛シグナルの研究」では, ラットでの亜鉛欠乏による味覚障害は, 亜鉛酵素である炭酸脱水酵素(CA)活性の低下による影響が大きいことを初めて神経生理学的に証明した. また, 亜鉛欠乏食を与えて3日後の摂食量の低下時の経口的な亜鉛投与による摂食量回復の過程には, 腸管からの亜鉛シグナルと迷走神経による脳への情報伝達が関与していることを初めて示した. また, (2)「ビタミンKの新規機能の解明に関する研究」では, 各組織内に存在する内因性酵素によるVK1(フィロキノン)のメナキノン-4(MK-4=VK2)への生体内変換を証明し, MK-4の新規...

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Published inNihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 68; no. 6; pp. 259 - 264
Main Author 駒井三千夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.12.2015
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Summary:「要旨」 (1)「亜鉛の味覚機能維持機構の解明と消化管亜鉛シグナルの研究」では, ラットでの亜鉛欠乏による味覚障害は, 亜鉛酵素である炭酸脱水酵素(CA)活性の低下による影響が大きいことを初めて神経生理学的に証明した. また, 亜鉛欠乏食を与えて3日後の摂食量の低下時の経口的な亜鉛投与による摂食量回復の過程には, 腸管からの亜鉛シグナルと迷走神経による脳への情報伝達が関与していることを初めて示した. また, (2)「ビタミンKの新規機能の解明に関する研究」では, 各組織内に存在する内因性酵素によるVK1(フィロキノン)のメナキノン-4(MK-4=VK2)への生体内変換を証明し, MK-4の新規機能について初めて提案した. ラット臓器を用いて解析したところ, MK-4の(1)炎症性サイトカインの分泌修飾を介した抗炎症作用(肝臓)と, (2)ステロイドホルモン生合成促進作用(精巣)を新たに証明することができた.
Bibliography:900870
ZZ00014795
ISSN:0287-3516