大和平野・紀伊平野の農業水利の歴史と今日的評価

大和平野 (奈良県) および紀伊平野 (和歌山県) は, 稲作伝来以降, 地形や風土の違い等から, 歴史的にみてそれぞれ特徴のある農業水利の発展が見られ今日に至っている。 大和平野では, 大和川水系において多数の溜池と井堰からなる潅漑方法が, 一方, 紀伊平野では, 紀の川本流から取水し, 紀の川の分川ともいえる水路網による潅漑方法が長い年月を経て今日の農業水利の原形となっていることを解説した。しかし, 不安定な用水供給の状況は続き, 戦後の十津川紀の川土地改良事業により, 両平野を水でつなぐ大規模水利システムが築かれ, ようやく水不足の歴史に終止符が打たれたことを示した。さらに, 両平野の農...

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Published inNōgyō Doboku Gakkai-Shi Vol. 66; no. 6; pp. 591 - 596,a1
Main Authors 平岩, 昌彦, 馬場, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 農業農村工学会 01.06.1998
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ISSN0369-5123
1884-7188
DOI10.11408/jjsidre1965.66.6_591

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Summary:大和平野 (奈良県) および紀伊平野 (和歌山県) は, 稲作伝来以降, 地形や風土の違い等から, 歴史的にみてそれぞれ特徴のある農業水利の発展が見られ今日に至っている。 大和平野では, 大和川水系において多数の溜池と井堰からなる潅漑方法が, 一方, 紀伊平野では, 紀の川本流から取水し, 紀の川の分川ともいえる水路網による潅漑方法が長い年月を経て今日の農業水利の原形となっていることを解説した。しかし, 不安定な用水供給の状況は続き, 戦後の十津川紀の川土地改良事業により, 両平野を水でつなぐ大規模水利システムが築かれ, ようやく水不足の歴史に終止符が打たれたことを示した。さらに, 両平野の農業水利の評価を試み, 長い年月を経て形成された水のかたちが, 流域の共通的社会資本としての役割を果たしていることを示唆した。
Bibliography:572645
ZZ00014130
ISSN:0369-5123
1884-7188
DOI:10.11408/jjsidre1965.66.6_591