内蒙古河套潅区における水管理と地域環境

• Published in: Nōgyō Doboku Gakkai-Shi Vol. 66; no. 8; pp. 807 - 811,a1
• Main Authors: 大槻, 恭一, 赤江, 剛夫, 長堀, 金造, 翼, 北平
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 社団法人 農業農村工学会 01.08.1998
• Subjects: 地域環境; 塩害; 水管理; 水質; 潅漑排水; 環境保全
• ISSN: 0369-5123; 1884-7188
• DOI: 10.11408/jjsidre1965.66.8_807

河套潅区は黄河流域の最北, 黄河中流に位置する内蒙古自治区の大規模潅概地域 (120万ha) である。河套潅区は乾燥地・半乾燥地に位置するが, 黄河の恩恵を受け, 古くから農業開発が行われてきた。一方, 農地開発に伴って地域環境の悪化が顕在化しており, 特に大規模潅概事業が導入されてからは土壌塩類化が深刻な問題になってきた。このような問題に対し, 近年排水事業が導入され, 河套潅区の土壌塩類化は徐々に抑制されつつある。しかし, 河套潅区の排水は未処理のまま黄河に排出されており, 広域的に見ると黄河流域の環境はむしろ悪化しているといえる。また, 未処理工業廃水の排水路への排出が河套潅区の新しい環境汚染問題として顕在化しており, 総合的な地域排水管理システムの確立が求められている。