牛卵胞嚢腫の直腸検査所見と血中性ステロイド値との関係

卵胞嚢腫牛における嚢腫の位置,数,直径,黄体共存の有無および破砕の難易性などを直腸検査によって観察し,これらと外部徴候,血中progesterone, estradiol-17β値および予後との関係を検討し,次の結果を得た。 1. 嚢腫は左よりも右卵巣に多く,両側性のものが最も多かった。 2. 3個以上の多胞性嚢腫の出現率は,思牡狂および持続性発情型では不規則発情および無発|青型に比べて高かった。 3. 外部徴候は嚢腫の直径と関係がなかったが,治癒率は嚢腫直径が3em以上のものでは3cm未満のものに比べて高かった。 4. 嚢腫の総容積と血中progesteroneおよびestradiol-17...

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Published inJapanese journal of animal reproduction Vol. 21; no. 4; pp. 147 - 153
Main Author 中尾, 敏彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 01.02.1976
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ISSN0453-0551
DOI10.1262/jrd1955.21.147

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Summary:卵胞嚢腫牛における嚢腫の位置,数,直径,黄体共存の有無および破砕の難易性などを直腸検査によって観察し,これらと外部徴候,血中progesterone, estradiol-17β値および予後との関係を検討し,次の結果を得た。 1. 嚢腫は左よりも右卵巣に多く,両側性のものが最も多かった。 2. 3個以上の多胞性嚢腫の出現率は,思牡狂および持続性発情型では不規則発情および無発|青型に比べて高かった。 3. 外部徴候は嚢腫の直径と関係がなかったが,治癒率は嚢腫直径が3em以上のものでは3cm未満のものに比べて高かった。 4. 嚢腫の総容積と血中progesteroneおよびestradiol-17β値とは負の相関々係があったが,統計的有意性はなかった。 5. 嚢腫と陳旧性小黄体あるいは開花期黄体との共存は各々29.7%,11.0%にみられたが,思牡狂および持続性発情型では黄体の共存は少なかった。 6. 嚢腫破砕の難易性と外部徴候,ならびに血中progesterone, estradiol-17β値との間には関係は認められなかったが,治癒率は両卵巣の全ての嚢腫が破砕できたものでは,全ての嚢腫が破砕できなかったもの,および数個の嚢腫のうち一部が破砕できたものに比べて高かった。
Bibliography:ZZ00021435
124051
ISSN:0453-0551
DOI:10.1262/jrd1955.21.147