ハムスター卵子における20αおよび20βハイドロオキシステロイド脱水素酵素の組織化学的研究

発生初期のハムスター卵子について,20α-OH-SDH(基質として20α-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)および20β-OH-SDH(基質として20β-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)を組織化学的に検出したところ,およそ次のような成績が得られた。 未受精卵子と受精未分割卵子はともに高い20α-および20β-OH-SDH活性を示した。これらの酵素活性によって生じたジホルマザン顆粒は卵子の細胞質に一様に分布していた。20α-OH-SDH活性は2細胞期にいたって低下し中等度となったが,この活性は胞胚期まで維持された。いっぽう,20β-OH-SDH活性は8細...

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Published inJapanese journal of animal reproduction Vol. 22; no. 2; pp. 55 - 59
Main Authors 石田, 一夫, 新村, 末雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 01.08.1976
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ISSN0453-0551
DOI10.1262/jrd1955.22.55

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Summary:発生初期のハムスター卵子について,20α-OH-SDH(基質として20α-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)および20β-OH-SDH(基質として20β-hydroxypregn-4-en-3-oneを使用)を組織化学的に検出したところ,およそ次のような成績が得られた。 未受精卵子と受精未分割卵子はともに高い20α-および20β-OH-SDH活性を示した。これらの酵素活性によって生じたジホルマザン顆粒は卵子の細胞質に一様に分布していた。20α-OH-SDH活性は2細胞期にいたって低下し中等度となったが,この活性は胞胚期まで維持された。いっぽう,20β-OH-SDH活性は8細胞期まで1細胞期と同程度の高い活性が持続されたが,胞胚期にいたり若干低下した。分割卵子においては,ジホルマザン顆粒は分割球の核の周辺と細胞質の表層部にとくに多く分布していた。胞胚においては,ジホルマザン顆粒は内細胞とトロホブラストに同じ強さで現れ,細胞質全般にみられた。発生過程をつうじて,ジホルマザン顆粒の分布状態には,酵素の種類による相違は認められなかった。以上のことから,ハムスター卵子にはprogesteroneと20α(β)-OH-Pとの間に相互転換のあることが推察された。
Bibliography:133559
ZZ00021435
ISSN:0453-0551
DOI:10.1262/jrd1955.22.55