農業金融研究の動向と展望 農業経営向け融資を対象として

本稿は,我が国の農業金融研究の到達点についてレビューによって明らかにし,今後の我が国の農業金融研究の方向性を,先進国の研究動向もふまえ,展望したものである.本稿では,農業金融を農業経営発展の手段と捉え,農業経営に向けた融資に重点を置いてレビューを行っており,主に,1)農業政策金融,2)農協による農業融資,3)農業金融をめぐる新しい研究動向について議論した.本稿で取り上げた農業金融を研究テーマとする我が国の研究の多くは,実態調査に基づく事例分析であり,借り手である農業経営や貸し手である金融機関の詳細なデータに基づき,仮説を統計的に検証する計量経済学的な実証分析はほとんどなされていない.今後は,事...

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Bibliographic Details
Published inNōgyō keizai kenkyu Vol. 83; no. 1; pp. 43 - 53
Main Author 森, 佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農業経済学会 01.06.2011
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ISSN0387-3234
2188-1057
DOI10.11472/nokei.83.43

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Summary:本稿は,我が国の農業金融研究の到達点についてレビューによって明らかにし,今後の我が国の農業金融研究の方向性を,先進国の研究動向もふまえ,展望したものである.本稿では,農業金融を農業経営発展の手段と捉え,農業経営に向けた融資に重点を置いてレビューを行っており,主に,1)農業政策金融,2)農協による農業融資,3)農業金融をめぐる新しい研究動向について議論した.本稿で取り上げた農業金融を研究テーマとする我が国の研究の多くは,実態調査に基づく事例分析であり,借り手である農業経営や貸し手である金融機関の詳細なデータに基づき,仮説を統計的に検証する計量経済学的な実証分析はほとんどなされていない.今後は,事例分析と計量分析が相互補完的になされることが重要であり,計量経済学的な分析を行うためのデータの整備や公開を行う必要があることを指摘した.
Bibliography:813630
ZZ00015633
ISSN:0387-3234
2188-1057
DOI:10.11472/nokei.83.43