西部ジャワの桑の種類とその特異性

西部ジャワの桑の種類とその特異性を調べつぎの結果を得た。 (1) クロミグワ―普通に栽培されている系統の他に葉の光沢が幾分強く, 葉の形がやや大きい系統がある。その他の性質では両者を区別することはできない。 (2) カラヤマグワ―文献記載の性質と一致するが樹皮が褐色であり条が太いなどの点は特異的である。 (3) ロソウ―文献記載の性質と一致するが樹皮が褐色である点を特異的のものと考えられる。 (4) ダッタングワ―花柱は長く樹皮は褐色を呈し新芽は相等に強い紫色を呈するなどの点で本来の系統と異るものである。 (5) Morus alba var. macrophylla―巨大細胞の突起が著しく大...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 41; no. 3; pp. 213 - 222
Main Author 勝又, 藤夫
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 28.06.1972
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Summary:西部ジャワの桑の種類とその特異性を調べつぎの結果を得た。 (1) クロミグワ―普通に栽培されている系統の他に葉の光沢が幾分強く, 葉の形がやや大きい系統がある。その他の性質では両者を区別することはできない。 (2) カラヤマグワ―文献記載の性質と一致するが樹皮が褐色であり条が太いなどの点は特異的である。 (3) ロソウ―文献記載の性質と一致するが樹皮が褐色である点を特異的のものと考えられる。 (4) ダッタングワ―花柱は長く樹皮は褐色を呈し新芽は相等に強い紫色を呈するなどの点で本来の系統と異るものである。 (5) Morus alba var. macrophylla―巨大細胞の突起が著しく大きいこと, 葉の形がその着生部位により著しく異ること, 葉に光沢がなく葉面粗〓なることなどから, 本来のカラヤマグワとは全く異る種類である。しかし雌花の調査を欠いたこと文献上の記載も充分でないのでこの種類の位置を決定できない, (6) シマグワ―花柱が短いこと葉の形が本来のシマグワと異るのでこの種類をシマグワの一系統と考えることはできない。シマグワと他種桑との交雑種ではないかと考える。 (7) カラケグワ―花柱は短いこと, 葉, 条, 葉柄に特に毛が多くないことなどからカラケグワと認めることはできない。カラヤマグワと全く同様の性質を示すのでその一系統と考えられる。 (8) マレイグワおよびヤマグワに属する桑を認めない。 (9) 以上の事実からつぎのことが考えられる。桑の性質には地方的特異性がある。したがって世界の桑を分類するには各地方の桑をそれぞれ分類し, その多くの資料を検討して完全な分類式を作るべきである。
Bibliography:ZZ00018606
53188
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.41.213