クワ縮葉細菌病の発生生態に関する研究 (1) 病原細菌の越冬

クワ縮葉細菌病菌P. mori の越冬場所を明らかにする目的で本研究を行なった。 1969年11月から1970年5月にかけて採集した罹病枝を供試し, P. mori の分離を試みたところ, ほとんどすべての材料から分離できた。また土壌中からの病原菌の検出に関しては直接分離培養法 (希釈平板培養法, 遠心濃縮培養法) によっては冬期の土壌中からP. mori を分離することはできなかったが, 接種培養法によって5月上旬の常発桑園土壌3区中1区でP. mori の再分離に成功した。さらに前年度の発生程度の異なる桑園6区と普通畑作地の土壌を材料として, ファージの分離を試みたところ, 前年の被害桑園...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 41; no. 4; pp. 285 - 293
Main Authors 佐藤, 守, 高橋, 幸吉
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 28.08.1972
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ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen1930.41.285

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Summary:クワ縮葉細菌病菌P. mori の越冬場所を明らかにする目的で本研究を行なった。 1969年11月から1970年5月にかけて採集した罹病枝を供試し, P. mori の分離を試みたところ, ほとんどすべての材料から分離できた。また土壌中からの病原菌の検出に関しては直接分離培養法 (希釈平板培養法, 遠心濃縮培養法) によっては冬期の土壌中からP. mori を分離することはできなかったが, 接種培養法によって5月上旬の常発桑園土壌3区中1区でP. mori の再分離に成功した。さらに前年度の発生程度の異なる桑園6区と普通畑作地の土壌を材料として, ファージの分離を試みたところ, 前年の被害桑園のみからP. mori に寄生するファージが分離された。分離されたファージ11株のうち, 5株はP. mori にのみ寄生したが, 残りはP. phaseolicola P. glycinea var. japonica にも寄生した。 以上の結果からP. mori は罹病枝中で越冬し, それが春の重要な第一次伝染源になるのみならず, 土壌中でも越冬する可能性が強いものと結論した。
Bibliography:ZZ00018606
54711
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.41.285