家蚕の卵殻の表面構造 II. 卵の部位による特異性
蚕の日131号および支131号の2品種の卵殻表面構造を, 微分干渉位相差顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡を用いて観察し, 精孔周辺部, 上面, 背面, 腹面, 後端の各中央部に見られる特異構造について記載した。 包卵細胞の境界部に相当する部分あるいは, これに囲まれている区画部分の構造のいずれかが, 他の部位と似た構造を示す場合があったが, ほとんどの部位では両者の構造いずれにも各部位に特異構造が認められた。日131号と支131号の卵の同じ部位の構造を比べてみると, いずれの部位にも品種差がみられた。 支131号の卵の上面と背面の中央部に小さいくぼみが多数みられたが, この構造は支131号が育成...
Saved in:
Published in | Nihon sanshigaku zasshi Vol. 46; no. 1; pp. 45 - 50 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本蚕糸学会
28.02.1977
|
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 蚕の日131号および支131号の2品種の卵殻表面構造を, 微分干渉位相差顕微鏡ならびに走査型電子顕微鏡を用いて観察し, 精孔周辺部, 上面, 背面, 腹面, 後端の各中央部に見られる特異構造について記載した。 包卵細胞の境界部に相当する部分あるいは, これに囲まれている区画部分の構造のいずれかが, 他の部位と似た構造を示す場合があったが, ほとんどの部位では両者の構造いずれにも各部位に特異構造が認められた。日131号と支131号の卵の同じ部位の構造を比べてみると, いずれの部位にも品種差がみられた。 支131号の卵の上面と背面の中央部に小さいくぼみが多数みられたが, この構造は支131号が育成される過程で固定された品種特性の1つであろう。 卵の各部位に特異構造がみられるのは, 卵殻形成における包卵皮膜組織の部位特異性によるものであって, 包卵細胞からの分泌物が卵表面に集積する過程が異なるためであろうと考えた。 |
---|---|
Bibliography: | 144461 ZZ00018606 |
ISSN: | 0037-2455 1884-796X |
DOI: | 10.11416/kontyushigen1930.46.45 |