抗肥満性ホルモンの発現制御に関する分子栄養学的研究

要旨 : 肥満をはじめとする生活習慣病は心疾患など重大な疾患に繋がる. FGF19とFGF21は, それぞれ小腸と肝臓で選択的に発現し, 抗肥満効果を有するホルモン様因子である. 本研究では, FGF19とFGF21の新たな発現制御機構の研究を通して, 生活習慣病予防に寄与する食品成分の研究基盤の確立を目指した. 小腸細胞の実験より. FGF19は小胞体ストレスにより発現が制御され, その応答性転写因子ATF4の新規標的遺伝子であることを見出した. 一方, FGF21を解析した結果, FGF19と同様にATF4による発現制御を受けることを見出した. ATF4は小胞体ストレスに加え, 様々な刺激...

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Published inNihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 69; no. 6; pp. 277 - 282
Main Author 清水誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.12.2016
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ISSN0287-3516

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Summary:要旨 : 肥満をはじめとする生活習慣病は心疾患など重大な疾患に繋がる. FGF19とFGF21は, それぞれ小腸と肝臓で選択的に発現し, 抗肥満効果を有するホルモン様因子である. 本研究では, FGF19とFGF21の新たな発現制御機構の研究を通して, 生活習慣病予防に寄与する食品成分の研究基盤の確立を目指した. 小腸細胞の実験より. FGF19は小胞体ストレスにより発現が制御され, その応答性転写因子ATF4の新規標的遺伝子であることを見出した. 一方, FGF21を解析した結果, FGF19と同様にATF4による発現制御を受けることを見出した. ATF4は小胞体ストレスに加え, 様々な刺激で活性化される. 培養細胞とマウスを用いた実験の結果, FGF19とFGF21はそれぞれ選択的な発現制御を受けることを示した. 以上の研究成果から, 転写因子ATF4がFGF19とFGF21の新たな発現制御因子であることが明らかとなり, 生活習慣病予防に対する新たな標的因子である可能性を示した.
Bibliography:910061
ZZ00014795
ISSN:0287-3516