エビ類のホワイトスポット病ウイルス検出のためのイムノクロマトグラフィーキットの開発とその評価

世界の養殖エビ類に蔓延しているホワイトスポット病の原因ウイルス(WSV)を迅速に検出するために,モノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィーキットを開発し,その有用性を評価した。本キットの WSV 検出感度は1段階 PCR 法と同等であり,2段階 PCR 法のそれよりも低かった。抗体は,WSV のエンベロープタンパク質 VP28を特異的に認識し,その検出限界値は9.9×103(ウイルスの DNA コピー数)/μl であった。診断技法としての有用性を外観症状および病理組織学的所見と比較したところ,顕著な病状を呈していないエビおよび胃や鰓の組織に感染細胞がほとんど認められない場合においても,...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 57; no. 3; pp. 437 - 447
Main Authors 福田, 耕平, 近藤, 昌和, 稲川, 裕之, Chongthaleong, Anan, Becerra, Lorenzo, 西, 和人, 奥山, 亮, 青木, 宙, 高橋, 幸則
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本水産増殖学会 20.09.2009
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Summary:世界の養殖エビ類に蔓延しているホワイトスポット病の原因ウイルス(WSV)を迅速に検出するために,モノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィーキットを開発し,その有用性を評価した。本キットの WSV 検出感度は1段階 PCR 法と同等であり,2段階 PCR 法のそれよりも低かった。抗体は,WSV のエンベロープタンパク質 VP28を特異的に認識し,その検出限界値は9.9×103(ウイルスの DNA コピー数)/μl であった。診断技法としての有用性を外観症状および病理組織学的所見と比較したところ,顕著な病状を呈していないエビおよび胃や鰓の組織に感染細胞がほとんど認められない場合においても,WSV が検出された。また,国内外における養殖エビや野生甲殻類について,検出を試みたところ,1段階 PCR と同等の検出率であった。以上のことから,本キットは WSV の迅速かつ,簡易な検出器材として有用であると考えられた。
Bibliography:ZZ00008678
781203
ISSN:0371-4217
2185-0194
DOI:10.11233/aquaculturesci.57.437