卵白 (乳酸発酵卵白) の新規保健機能研究とその応用

「要旨」:卵白タンパク質は, 栄養機能は高いことは知られているものの, 健康機能についてはほとんど研究されていなかった. そこで, 卵白タンパク質が良質なタンパク源という特徴に着目し, 基礎的な研究を行ったところ, カゼインと比較して, 体タンパク質量, 筋肉量を増加させるとともに, 体脂肪量および内臓脂肪量を減少させることが示された. しかし, ヒトが卵白を多量に継続摂取することは比較的困難であったため, 卵白を乳酸発酵させることで, 風味を良くした「乳酸発酵卵白」を開発した. 内臓脂肪が多めのヒトを対象とした試験を実施したところ, 「乳酸発酵卵白」は内臓脂肪型肥満を改善し, その効果は,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Eiyō, Shokuryō Gakkai shi Vol. 74; no. 4; pp. 147 - 154
Main Authors 松岡亮輔, 木村守, 有満和人, 兒嶋高志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.08.2021
Online AccessGet full text
ISSN0287-3516

Cover

More Information
Summary:「要旨」:卵白タンパク質は, 栄養機能は高いことは知られているものの, 健康機能についてはほとんど研究されていなかった. そこで, 卵白タンパク質が良質なタンパク源という特徴に着目し, 基礎的な研究を行ったところ, カゼインと比較して, 体タンパク質量, 筋肉量を増加させるとともに, 体脂肪量および内臓脂肪量を減少させることが示された. しかし, ヒトが卵白を多量に継続摂取することは比較的困難であったため, 卵白を乳酸発酵させることで, 風味を良くした「乳酸発酵卵白」を開発した. 内臓脂肪が多めのヒトを対象とした試験を実施したところ, 「乳酸発酵卵白」は内臓脂肪型肥満を改善し, その効果は, 主にオボアルブミンによる脂質の吸収抑制によって引き起こされている可能性が示された. この「乳酸発酵卵白」は血清LDL-コレステロール濃度が高めの被験者で, 血清LDL-コレステロール濃度を低下することもわかった. 卵白「乳酸発酵卵白」は, 生活習慣病の予防に活用できるタンパク源として, 人々の健康維持・増進に貢献することが期待された.
Bibliography:938573
ZZ00014795
ISSN:0287-3516