産卵鶏の卵管卵殻腺部におけるCa2+-ATPaseおよびcarbonic anhydrase IIの免疫組織化学的研究

本研究では,放卵後3時間および12時間の産卵鶏を用い,卵管の卵殻腺部におけるcalcium-adeno-sine triphosphatase(Ca2+ -ATPase)およびcarbonic anhydrase II (CAII)の局在について免疫組織化学的に検出し,卵殻腺部の粘膜上皮および管状腺におけるCa2+とHCO3の分泌について検討した。 卵殻腺部におけるCa2+ -ATPaseの局在を観察したところ,粘膜上皮においては,免疫反応は認められなかった。管状腺においては,管状腺細胞の腺腔面および導管部において強い免疫反応が認められた。また,放卵後3時間および12時間の産卵鶏における免疫反...

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Published inNihon Kakin Gakkaishi Vol. 33; no. 6; pp. 371 - 376
Main Authors 新井, 達弥, 杉山, 稔恵, 楠原, 征治
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本家禽学会 25.11.1996
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Summary:本研究では,放卵後3時間および12時間の産卵鶏を用い,卵管の卵殻腺部におけるcalcium-adeno-sine triphosphatase(Ca2+ -ATPase)およびcarbonic anhydrase II (CAII)の局在について免疫組織化学的に検出し,卵殻腺部の粘膜上皮および管状腺におけるCa2+とHCO3の分泌について検討した。 卵殻腺部におけるCa2+ -ATPaseの局在を観察したところ,粘膜上皮においては,免疫反応は認められなかった。管状腺においては,管状腺細胞の腺腔面および導管部において強い免疫反応が認められた。また,放卵後3時間および12時間の産卵鶏における免疫反応の間に違いは認められなかった。 卵殻腺部におけるCAIIの局在を観察したところ,粘膜上皮において強いCAIIの免疫反応が認められ,管状腺においては,粘膜上皮と比較して幾分弱いCAIIの免疫反応が認められた。また,放卵後3時間および12時間の産卵鶏で差はみられなかった。 これらのことから,卵殻腺部におけるCa2+の分泌は,管状腺に存在するCa2+-ATPaseによる能動輸送によって行なわれていることが推察された。また,卵殻形成に必要とされるHCO3の産生と分泌には,管状腺よりもむしろ粘膜上皮の方がより強く関与していることが推察された。
Bibliography:ZZ20005654
542236
ISSN:0029-0254
DOI:10.2141/jpsa.33.371