日本ウズラから分離したコクシジウムの1新種 Eimeria uzura

日本ウズラ (Coturnix japonica) のコクシジウムについては, 報告がとぼしく, 自然発生例の観察を一二みるのみである. いっぽう quails といわれている鳥のコクシジウムについては, いくつかの報告がある. しかし, これは日本ウズラとは全く属を異にする鳥であるから, それらのコクシジウムと日本ウズラのものとは, 全く異なるものであることは, Eimeria 属の宿主特異性からみても, 容易に考えられることである. 筆者らが日本ウズラから純分離に成功した1種の Eimeria は, インドで灰色ウズラ (C. coturnix) のコクシジウムとして報告された Eimer...

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Published inJapanese journal of veterinary science Vol. 33; no. 5; pp. 227 - 235_2
Main Authors 角田, 清, 村木, 八一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 25.10.1971
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Summary:日本ウズラ (Coturnix japonica) のコクシジウムについては, 報告がとぼしく, 自然発生例の観察を一二みるのみである. いっぽう quails といわれている鳥のコクシジウムについては, いくつかの報告がある. しかし, これは日本ウズラとは全く属を異にする鳥であるから, それらのコクシジウムと日本ウズラのものとは, 全く異なるものであることは, Eimeria 属の宿主特異性からみても, 容易に考えられることである. 筆者らが日本ウズラから純分離に成功した1種の Eimeria は, インドで灰色ウズラ (C. coturnix) のコクシジウムとして報告された Eimeria coturnicis, および E. bateri, とくらべて, オーシストの形は似ているが, その大きさ, Polar inclusion, および micropyle の有無などからみても, 明らかに異なる種類であるとみられる. E. coturnicis は, 特に自然感染例の糞中の少数のオーシストの形態をみているに過ぎないため, はたして, これが1種類のコクシジウムのオーシストを観察したものか否かは疑がわしい. 今回分離したコクシジウムについては, 単一オーシスト感染法で純分離した株を用いて, その全発育環を明らかにした. 成熟オーシスト感染後1.5~5時間でスポロゾイトは遊出し, 十二指腸および小腸上部の絨毛上皮細胞内に侵入して, 球形となる. その後, 初代シゾントは22~48時間で, 2代以降のシゾントは48時間以降に, 形成される. ガメトサイトは88~96時間の間に形成され, 新生のオーシストが糞中に初めて排泄されるのは, 感染後4日目である. シゾントおよびガメトサイトは, すべて十二指腸および小腸上部の絨毛上皮細胞内で増殖, 発育し, 決して固有層以下には侵入しない. また, 宿主細胞の核の上部の細胞質内でのみ増殖する. これは鶏の E. acervulina と良く余似た性質を有する. オーシストは, 25℃で Sporulation time が24時間である. また, patent period は, 濃, 軽感染を問はず, 13日間であった. また, ウズラに近縁な鳥類11属について, E. uzura のオーシストで感染試験を行なったが, いづれも感染は成立しなかった. さらにこれらの鳥類から分離した少なくとも20種のコクシジウムのオーシストを日本ウズラに感染させたが, いずれも感染しなかった. とくに, E. dispersa は, 各種の鳥類に感染する可能性があることが報じられているが, 日本ウズラには感染しなかった. 以上の実験結果からみて, 今回分離したコクシジウムは, Eimeria uzura TSUNODA 1970, なる種名を与え, 新種として扱うのが適当と考えられる.
Bibliography:ZZ00021048
40497
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.33.227