凍結•融解マウス胚の酵素組織化学的観察

WHITTINGHAM et al.の方法(1972)によって凍結•融解したマウス8細胞胚と,これらを培養して得られた桑実胚と胞胚について cytochrome oxidase, NADH2-DH, SDH, LDHおよびΔ5-3β-HSDの活性を組織化学的に検出し,次の結果を得た。 1.8細胞胚.融解直後の8細胞胚には,光学顕微鏡下ですべての割球が正常なもの(1群),一部の割球が退行しているもの(II群)およびすべての割球が退行しているもの(III群)が含まれていた。I群とII群の胚の正常な割球には弱い cytochrome oxidase が出現したが,その他の酵素活性は全くみられなかった...

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Published inKachiku hanshokugaku zasshi (Tōkyō. 1977) Vol. 28; no. 2; pp. 71 - 75
Main Authors 石田, 一夫, 新村, 末雄, 白石, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 01.06.1982
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ISSN0385-9932
DOI10.1262/jrd1977.28.71

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Summary:WHITTINGHAM et al.の方法(1972)によって凍結•融解したマウス8細胞胚と,これらを培養して得られた桑実胚と胞胚について cytochrome oxidase, NADH2-DH, SDH, LDHおよびΔ5-3β-HSDの活性を組織化学的に検出し,次の結果を得た。 1.8細胞胚.融解直後の8細胞胚には,光学顕微鏡下ですべての割球が正常なもの(1群),一部の割球が退行しているもの(II群)およびすべての割球が退行しているもの(III群)が含まれていた。I群とII群の胚の正常な割球には弱い cytochrome oxidase が出現したが,その他の酵素活性は全くみられなかった。一方,II群とIII群の胚の退行割球では,いずれの酵素活性も異常に強く出現した。 2.桑実胚および胞胚.融解後すべての割球が正常な8細胞胚を培養すると,NADH2-DH活性は24時間培養して得られた桑実胚に,LDHと∠5•3β•HSDの活性は48時間培養して得られた桑実胚と胞胚に,また,SDH 活性は52時間培養して得られた胞胚に,それぞれ,はじめて出現した。 このように,凍結•融解後,胚の代謝能の回復に時間を要することが発生遅延の要因の一つであることが示唆された。 終わりに,胚の凍結•融解技術を御指導いただいた農林水産省畜産試験場の角田幸生博士に心から感謝いたします。
Bibliography:253445
ZZ00021434
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.28.71