温州ミカンのピロガロール酸化酵素およびフロログルシノール酸化酵素の精製とそれらの性質

(1) 温州ミカン米熟果の抽出液から,硫安分画, DEAE-セルロースおよびCM-セファデックスC-50クロマトグラフィー,セファデックスG-100ゲル濾過によって, PyOとPhOとが分別精製された.粗抽出液に比べ, PyOは約110倍, PhOは約2130倍に精製された.前老はディスク電気泳動的に均一であった.また,両酵素の分子量はPyOで約59,000. PhOで約27,000と推定された. (2) PyOはピロガロールおよび没食子酸を, PhOはフロログルシノールおよびフロログルシノールカルボン酸を速やかに酸化するが,いずれもジフェノール酸化活性は認められなかった. (3) PyO,...

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Published inNippon nōgei kagakukaishi Vol. 53; no. 7; pp. 233 - 240
Main Authors 東野, 哲三, 藤田, 修二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.07.1979
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ISSN0002-1407
1883-6844
DOI10.1271/nogeikagaku1924.53.7_233

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Summary:(1) 温州ミカン米熟果の抽出液から,硫安分画, DEAE-セルロースおよびCM-セファデックスC-50クロマトグラフィー,セファデックスG-100ゲル濾過によって, PyOとPhOとが分別精製された.粗抽出液に比べ, PyOは約110倍, PhOは約2130倍に精製された.前老はディスク電気泳動的に均一であった.また,両酵素の分子量はPyOで約59,000. PhOで約27,000と推定された. (2) PyOはピロガロールおよび没食子酸を, PhOはフロログルシノールおよびフロログルシノールカルボン酸を速やかに酸化するが,いずれもジフェノール酸化活性は認められなかった. (3) PyO, PhOとも最適pHは7~8の微アルカり側にあり, pH 6以上で安定であった.また,両酵素とも他の植物PPOに比べて熱に安定であり,とくに, PhOは100°, 5分間の加熱でも10%の失活にすぎなかった. (4) 金属イオンの影響について調べたところ, PhO活性はMn2+により著しく賦活化されたが, Cu2+によってはほぼ完全に阻害された.これに対し, PyOはMn2+によってはほとんど影響されなかった.また,両酵素ともシアン化カリウム,ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムおよびL-アスコルビン酸により顕著な阻害をうけた.
Bibliography:192872
ZZ00014810
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.53.7_233