家蚕の卵殼の表面構造 I. 精孔部の微細構造

走査型電子顕微鏡および微分干渉位相差顕微鏡を用いて蚕卵の表面構造を観察した。供試材料には日124号および支124号の蛾からとり出した完成卵を用いた。本報では精孔部の微細構造およびその品種差について述べる。 精孔部にある花弁状紋を構成する花弁の1列目 (内側) には, 表面に放射状のひだがみられた。2列目より外側の部分にはひだ状の構造はなく, この部分はこぶ状に盛り上っていた。このような表面構造の差異から1列目の表面は卵殻の他の部分と異り外層に当るものがないと考えた。 精孔部の中心の小腔は, その底部にある精孔副枝の導管の開口部を結ぶ多角形あるいは星状形で, その形は精孔副枝の数によって決まるが...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 43; no. 5; pp. 379 - 383
Main Authors 神田, 俊男, 松村, 初太郎, 大槻, 良樹
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 28.10.1974
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Summary:走査型電子顕微鏡および微分干渉位相差顕微鏡を用いて蚕卵の表面構造を観察した。供試材料には日124号および支124号の蛾からとり出した完成卵を用いた。本報では精孔部の微細構造およびその品種差について述べる。 精孔部にある花弁状紋を構成する花弁の1列目 (内側) には, 表面に放射状のひだがみられた。2列目より外側の部分にはひだ状の構造はなく, この部分はこぶ状に盛り上っていた。このような表面構造の差異から1列目の表面は卵殻の他の部分と異り外層に当るものがないと考えた。 精孔部の中心の小腔は, その底部にある精孔副枝の導管の開口部を結ぶ多角形あるいは星状形で, その形は精孔副枝の数によって決まるが, 精孔副枝が同じ場合でも日124号では多角形, 支124号では星状形となり, 品種による特異性がみられた。
Bibliography:ZZ00018606
94333
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.43.379