接触者健診におけるIGRA陽性に関連する因子の検討

「要旨」: 〔目的〕2021年に低蔓延国になったわが国の接触者健診において, IGRA陽性に関連する因子を調査した. 〔方法〕2020年10月から2022年10月に千葉市の結核接触者健診の対象者で, ちば県民保健予防財団にてQFT-Plusを実施した受診者を対象とした. 問診と保健所から提供された情報を元にQFT-Plusの陽性率と対象者の背景因子, 接触状況の因子, 初発結核患者の因子との関連性を評価した. 〔結果〕今回の対象者は393人で, QFT-Plus陽性者は33人, 陰性者は358人, 判定不可2人であった. 背景因子の多変量解析では空洞性病変, 病変の拡がり3+の存在がQFT-P...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in結核 Vol. 99; no. 5; pp. 109 - 113
Main Authors 戸来依子, 猪狩英俊, 岡田奈生, 鈴木公典, 漆原崇司, 山岸一貴, 矢幅美鈴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.07.2024
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「要旨」: 〔目的〕2021年に低蔓延国になったわが国の接触者健診において, IGRA陽性に関連する因子を調査した. 〔方法〕2020年10月から2022年10月に千葉市の結核接触者健診の対象者で, ちば県民保健予防財団にてQFT-Plusを実施した受診者を対象とした. 問診と保健所から提供された情報を元にQFT-Plusの陽性率と対象者の背景因子, 接触状況の因子, 初発結核患者の因子との関連性を評価した. 〔結果〕今回の対象者は393人で, QFT-Plus陽性者は33人, 陰性者は358人, 判定不可2人であった. 背景因子の多変量解析では空洞性病変, 病変の拡がり3+の存在がQFT-Plus陽性と有意に関連していた. 接触時間・頻度と陽性率については, 接触時間・状況について問診では明らかにできない受診者が114人(29.0%)にものぼり, 279人(71.0%)が解析対象となり, 接触時間・頻度で有意差は認めなかった. 〔結語〕接触者健診におけるIGRA陽性には, 初発患者の空洞性病変, 病変の拡がり3+の存在がリスク因子であった. 接触時間と頻度については, 問診の方法見直しも含めさらなる検討が必要であった.
ISSN:0022-9776