C-11. DMBA誘発ハムスター頬嚢化学発癌におけるCOX-2阻害剤celecoxibのアポトーシス誘導と血管新生抑制効果

Cyclooxygenase(COX)はアラキドン酸からPGH2への合成過程を触媒する酵素で, アイソザイムの異なったCOX-1とCOX-2が確認されており, それぞれNSAIDsにより阻害される. 近年, NSAIDsにより大腸癌の発生が予防されることが判明して以来, 様々な悪性腫瘍の発癌および進展におけるCOX-2の関与が報告され注目されている. われわれは, DMBA誘発ハムスター頬嚢発癌モデルを用いて, COX-2選択的阻害剤であるCelecoxibの投与による発癌抑制効果, 形成腫瘍に対する増殖抑制効果, および延命効果について検討したので報告する. 【材料および方法】雄シリアンハム...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 16; no. 3; p. 131
Main Authors 西村則彦, 櫻井一成, 橋谷進, 高岡一樹, 野口一馬, 浦出雅裕, 南雲正男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2004
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ISSN0915-5988

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Summary:Cyclooxygenase(COX)はアラキドン酸からPGH2への合成過程を触媒する酵素で, アイソザイムの異なったCOX-1とCOX-2が確認されており, それぞれNSAIDsにより阻害される. 近年, NSAIDsにより大腸癌の発生が予防されることが判明して以来, 様々な悪性腫瘍の発癌および進展におけるCOX-2の関与が報告され注目されている. われわれは, DMBA誘発ハムスター頬嚢発癌モデルを用いて, COX-2選択的阻害剤であるCelecoxibの投与による発癌抑制効果, 形成腫瘍に対する増殖抑制効果, および延命効果について検討したので報告する. 【材料および方法】雄シリアンハムスター5週齢24匹に対し, 0.5%DMBAアセトン溶液をエーテル麻酔下に週3回, 頬嚢に反復塗布し, 扁平上皮癌を誘発させると同時に, Celecoxib各濃度(150, 500, 1500ppm)含有の餌を摂食させた. コントロール群を含め1群6匹として4群に分類し, 週1回, 病変部の観察および体重測定を行った. 肉眼的に発癌を認めた後は, 腫瘍径の測定とともに腫瘍換算重量を(短径2×長径/2)mgの式で算出した. なお, 14週目以降, 発癌操作は行わず, 26週経過後, 生存しているハムスターを屠殺し, 腫瘍を検体として採取し, 病理組織学的検討を行った. 【結果および考察】Celecoxib投与群では投与量に比例して発癌時期が遅延することが判明した. Celecoxib投与群, 非投与群ともに全例に発癌が認められたが, Celecoxib投与群では, いずれの濃度においても増殖抑制効果と延命効果が認められた. また, 病理組織学的に, Celecoxib投与による腫瘍周囲の血管新生抑制効果が認められるとともに, アポトーシス誘導の関与が示された. 以上より, COX-2阻害剤による口腔癌の発癌予防効果, 増殖抑制効果の可能性が示唆された. 質問 昭和大・歯・第二口外 南雲正男 Celecoxibには, 発癌の遅延および細胞増殖抑制作用があるとの御発表でしたが, 発癌の遅延の機序をどのように考えられますか. 応答 兵医・歯口外 西村則彦 アセトンのみ塗布した群においても, COX-2陽性細胞が散見されたことを考慮すると, COX-2阻害剤の投与による発癌時期の遅延効果の一因として, 組織の損傷, 修復に関連し発現するCOX-2の抑制が考えられる.
ISSN:0915-5988