12. 印象採得時の血圧変動について─練和時の水温との関係

「I. 目的」 概形印象採得が, 一般的歯科治療の中で頻度が高くかつ簡便な処置であることから, 我々はこれまで非侵襲的な歯科治療の典型例であると考え, 高齢者における概形印象採得時の血圧変動について報告を行なってきた. 一方, 血圧は寒冷刺激や冷刺激により変動することから印象材練和時の水温の影響が懸念される. そこで本実験では, 印象材練和時の水温が患者に及ぼす影響を明らかにするため, 上顎概形印象採得時の血圧変動を測定し分析を行なった. 「II. 方法」 被験者は, 大阪歯科大学大学院生, 研修生, 学生の中から問診と血圧測定により循環器系疾患に既往のないものを21名選んだ. 血圧測定は,...

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Published in日本補綴歯科学会雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 355
Main Authors 上杉直斗, 小野圭昭, 水野克彦, 岩山和史, 浅井崇嗣, 岡崎定司, 小正裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本補綴歯科学会 2005
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Summary:「I. 目的」 概形印象採得が, 一般的歯科治療の中で頻度が高くかつ簡便な処置であることから, 我々はこれまで非侵襲的な歯科治療の典型例であると考え, 高齢者における概形印象採得時の血圧変動について報告を行なってきた. 一方, 血圧は寒冷刺激や冷刺激により変動することから印象材練和時の水温の影響が懸念される. そこで本実験では, 印象材練和時の水温が患者に及ぼす影響を明らかにするため, 上顎概形印象採得時の血圧変動を測定し分析を行なった. 「II. 方法」 被験者は, 大阪歯科大学大学院生, 研修生, 学生の中から問診と血圧測定により循環器系疾患に既往のないものを21名選んだ. 血圧測定は, 非観血的連続血圧測定装置JENTOW-7700(日本コーリン社製)を用いた. 上顎概形印象採得は, アルジネート印象材と既製網トレーを用い, 練和条件は, 室温水(24~26℃)と冷水(4℃)の2条件として, ランダムに行なった. 得られたデータはパーソナルコンピューターに取り込み分析を行なった. 「III. 結果と考察」 上顎概形印象採得時に, 全ての被験者において血圧の上昇が認められた. 印象材練和に冷水を用いた時の血圧上昇量は室温水を用いた時の血圧上昇量よりも有意に大きかった. 以上のことから, 印象採得時の印象材練和時の水温は, 血圧変動に大きな影響を及ぼすと考える. 「IV. 文献」 1)岩山和史他:高齢者における印象採得時の血圧変動について─心理的背景との関連─:老年歯科医学19:241-242, 2004
ISSN:0389-5386