II-11 原因不明の腰痛疾患として来院する成人発症Filum terminale syndromeの外来診断

成人発症Filum terminale syndromeは難治性の腰下肢痛を主訴として来院し診断に難渋する. 5例の手術的治療例から本症の臨床的特徴について考察した. 【対象および方法】過去10年間に当院にて経験した5例を対象とした. 男性2例, 女性3例, 54.4歳, 主訴は下肢痛3例, 下肢脱力2例, JOA scoreは9.4(8~11)点, 術後経過観察期間は3年4ヵ月であった. 手術は5例とも終糸を切離し1例に脂肪腫を摘出した. 脊髄奇形病態はTFT 3例, TFT+occult intrasacral meningocele 1例, TFT+occult intrasacral...

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Published in日本腰痛学会雑誌 Vol. 8; no. 1; p. 198
Main Authors 渡辺俊彦, 城守国斗, 牧之段淳, 中村文紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腰痛学会 2002
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Summary:成人発症Filum terminale syndromeは難治性の腰下肢痛を主訴として来院し診断に難渋する. 5例の手術的治療例から本症の臨床的特徴について考察した. 【対象および方法】過去10年間に当院にて経験した5例を対象とした. 男性2例, 女性3例, 54.4歳, 主訴は下肢痛3例, 下肢脱力2例, JOA scoreは9.4(8~11)点, 術後経過観察期間は3年4ヵ月であった. 手術は5例とも終糸を切離し1例に脂肪腫を摘出した. 脊髄奇形病態はTFT 3例, TFT+occult intrasacral meningocele 1例, TFT+occult intrasacral meningocele+lipoma 1例で2例にLow conusを伴っていた. 【まとめ】臨床症状は圧迫病態と微妙に異なる. MRI横断像にて終糸像を認めた場合本症を念頭に置き, 下肢痛が広範で疼痛域に一致せず, 肛門痛を伴い, 知覚障害は肛門周囲を含み, 下肢筋力低下は広範で軽度の膀胱直腸障害が把握できれば本症を疑う.
ISSN:1345-9074